昔バイトが一緒だった人から連絡が来て「旅行に行くだけでお金がもらえる仕事がある」と紹介されました。これってねずみ講ですか?
ねずみ講やマルチ商法という言葉を耳にすることがありますが、詳しく説明できる人は多くないでしょう。しかし、これらの商法が違法なのかそうでないのかを、しっかりと把握しておかないとだまされてしまう可能性が高くなります。そこで本記事では、旅行を勧誘する商法の仕組みと、マルチ商法やねずみ講について解説します。
旅行に行くだけでお金がもらえる仕事の仕組み
結論から先に言うと、旅行に行くだけでお金がもらえる仕事は、マルチ商法やMLM(マルチレベル・マーケティング)と呼ばれている商法です。ねずみ講とは異なり違法ではなく、法律で規制されています。これらの商法はどのような仕組みなのか、マルチ商法、MLM、ネットワークビジネスには違いがあるのかを解説します。 ■旅行でお金がもらえる仕組みはいわゆるマルチ商法 旅行に行くだけでお金をもらえる仕事は、旅行会員権を購入することにより格安で旅行することができ、さらに会員を勧誘することで報酬を得られる仕組みです。旅行をしながら得た情報を提供することで、報酬を得る仕事とはまったく異なります。 しかし、実際には会員になってもなかなか旅行の予約が取れなかったり、会員を紹介しても元が取れるだけもうからなかったりするのが現状です。 このような仕組みは旅行会員権だけでなく、高額な商品などを対象にしているケースもありマルチ商法と呼ばれています。ネットワークビジネスやMLMと呼ばれることもあります。 ■ネットワークビジネス、マルチ商法、MLMは違法ではないが規制対象 もともとはマルチ商法という名称が一般的でしたが、マルチ商法は詐欺というイメージが強いため、ネットワークビジネスやMLMといった呼び方が近年増えてきています。つまり、これらは本質的には同じ商法であって、法律的には連鎖販売取引と呼ばれ、特定商取引法によって規制されています。 連鎖取引商法は特定商取引法では、以下のように定義されています。 ・対象となる事業者 物品(施設の利用権利や役務の提供を受ける権利を含む)の販売や役務の提供などをする事業を営んでいる ・事業内容 再販売、受託販売または販売や役務提供のあっせんをする者を、特定利益が得られると誘引し、特定負担を伴う取引などをする者 つまり、紹介料(特定利益)がもらえると言って誘い、入会金など(特定負担)を要求する仕組みであれば、ほとんどが連鎖取引商法に該当し規制対象となります。 「旅行に行くだけでお金がもらえる仕事」も、紹介料で誘って会員権を購入させるので、連鎖取引商法に含まれる可能性は高いです。