忘年会で泥酔した夫が同僚に抱きつき…突然「性犯罪者の妻」となり、仕事・金・家を失った40代女性の苦しみ
■忘年会で泥酔した夫が容疑者に、妻が示談金300万円を払う ①強制わいせつ致傷罪で逮捕された30代夫と40代妻のケース 会社員の村上玲子(40代)は、年末の休みに入り、夫(30代)とスキー旅行に出かけようとしていた朝、警察官を名乗る男性が夫に話を聞きたいと自宅を訪ねてきた。 夫は警察官に連行され、数日後に逮捕された。容疑は、強制わいせつ致傷罪だという。 「あまりに突然のことで頭が真っ白になりました。夫とは関係が良好だったので、特別、思い当たる節もなく……」 玲子を打ちのめした事実は夫の逮捕だけではなかった。被害者は、玲子も知る会社の後輩だったのだ。玲子は夫と同じ会社で働いていた。 夫は、会社の忘年会で酔った勢いで女性に抱きつくなどし、暴行を働いたのだという。夫は泥酔していたようで、当時の記憶はなく、事件の事は覚えていないという。 「人生で、こんなに惨めで恥ずかしい思いをするなんて想像もできませんでした……」 玲子はとにかく少しでも夫の刑を軽くするためと、弁護人に言われるまま示談金として300万円を被害女性に支払い、夫婦で退職し、二度と女性に近づかないよう妻として監督することを約束した。 「夫の給料は私よりずっと少ないので、彼に貯金はありません。300万円は私が出しました」 夫が性犯罪に手を染め、そのせいで仕事まで失った玲子は第二の被害者といっても過言ではない。なぜ、支払いを肩代わりしたのか。 「社内では事件が起きた原因は私のせいだと噂されていたようです。夫と同じ会社で奥さんの方が給料が高いっていうのは、彼にとってストレスだっただろうって……。私は被害者の女性とも知り合いなので、とても、何もしないわけにはいきませんでした」 ■夫が2度目の事件を起こし、自宅を売却することに 玲子の努力の甲斐あって、夫は執行猶予付き判決を得て戻ってきたが、離婚は考えなかったのだろうか。 「これからの夫の監督も含めて、私の社会的責任だと思っていました。夫は当時のことを覚えていないというので、もしかしたら冤罪(えんざい)かもしれないという思いもありました。ただ、私としては事件を早く終わらせたかったのでこれでよかったと考えていたんです」 玲子は退職してまもなく新しい仕事を見つけたが、給料は以前の職場の半分になり、夫は再就職ができないまま月日が流れていた。 そして、事件から1年が過ぎた頃、夫はまた事件を起こした。飲食店に勤務する女性をトイレで強姦しようとして逮捕されたのだった。執行猶予中の犯行だったことから、夫は収監されることになった。 無収入の夫が犯した犯罪について、玲子は再び被害女性に300万円の支払いを行ったのだ。 「今度は、まったく夫を助けるつもりはありませんでした。離婚を前提に、自宅を売却してなんとか被害者にお支払いしたいと……」