援助交際13%発言の「国連特別報告者」の役割は何だったのか
特別報告者は加盟国に対し、人権状況の調査のため訪問を行う。その国への訪問で、特別報告者は政府関係者、人権侵害を受けている被害者、NPO、支援団体などと意見交換を行い調査する。調査対象国は、調査の妨害を行ってはならない。訪問し調査した結果は「報告書」と言う形で人権理事会に提出・公表され、特別報告者は改善が必要だと判断した点について、政府に「勧告」を行う。 今回のブーア=ブキッキオ氏は、「児童売買、児童買春及び児童ポルノ」というテーマについて、日本の状況を調査しにきた「特別報告者」だった。今回の訪問の報告書は来年3月に公表される予定で、そこには今回の訪問で発見した事実に基づいた「勧告」が含まれることになるだろう。 ブーア=ブキッキオ氏は、オランダ出身で1969年に欧州評議会の職員になって以来、「欧州人権条約」のもと、人権保護を行う職務に従事してきた人物。特に、差別と暴力に対する闘いや子どもなど最も弱い立場にある人々に対する保護などを専門にしてきた。2002年から2012年まで女性初の欧州評議会事務次長を務めたこともあり、専門性や経験を備えているとして、2014年5月から特別報告者を務めている。
「勧告」に法的拘束力はないが、国際的非難の根拠に
特別報告者による「勧告」には法的拘束力がないが、国連人権理事会は多くの人権団体、機関、国際NGOとともに活動しており、国際NGOは「勧告」が確実に実施されるように国際的活動を展開していくことになる。特別報告者が報告書・勧告に記載した事柄は、国際NGOや人権団体などが非難を行う論拠となると言える。 日本に対する特別報告者による訪問と調査報告書・勧告の公表はこれまでも何度か行われてきた。約20年前には慰安婦問題についてクマラスワミ氏が、人権理事会の前身・人権委員会の「女性に対する暴力に関する特別報告者」として来日。最近の例では、2012年11月に東京電力福島第一原発事故の影響調査のための「健康の権利に関する特別報告者」が来日している。