資格さえ取れば食べていける?士業コンサルタントが教えるビジネスとしての「資格業」 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■実は、資格があれば何とかなる
結論からいえば、独立開業するにあたって資格業は有望であるといえます。 たしかに、法人数の減少や資格取得者の増加、報酬のダンピングなどによって苦しい状況は続いています。おそらく、資格だけでは食べていけない時代はもうそこまで来ているといっても過言ではありません。 しかしながら、士業の仕事がなくなることはありませんし、また異業種で独立起業するよりは、はるかに「何とかなる」といえるのです。 代表的な理由は3つほどあります。 まずは、国家資格という「信用」が最初からあるということです。 商売はいうまでもなく信用の元に成立します。そのため、小さな会社を立ち上げたり、個人事業で始めたりしても、「信用してもらう」ことがひと苦労なのです。この点、資格業は最初からいわば「お国のお墨付き」をもらっているのですから、信用度は最初から高いといえます。 次の理由は、仕事に答えがあるということです。 これも独立開業の初心者が取り組みやすい理由のひとつです。裁判や法律トラブルなど、法律の解釈が分かれる時や交渉事は答えがひとつとはいえませんが、資格業の代表的な仕事は「手続き」です。そのため、仕事の回答は行政が持っていることが多く、「答え」の見つけやすい仕事であるといえます。 それに対比して顕著なのがデザイナーなどの仕事で、彼らの仕事に終わりはあっても答えはありません。そのため、自分自身の才能と戦うことになります。 三番目としては、資格業の仕事は「お客様から見たら差がわかりにくい」というものです。もちろん、開業1年目の新人と、20年以上のベテラン士業では実力は天と地ほどの開きがあるでしょう。 しかしながら、あまりにもその「差」が専門的過ぎて、ある程度の信用があれば仕事は取れるという現実があります。つまり、商品に差が感じられない以上は、営業を数多くこなした事務所に仕事が集まるという結論になります。 言い換えれば、一般の会社が苦しんでいる「差別化」や「オリジナルの商品開発」をすることなく事務所経営ができるのです。価格競争や本書で後述するセミナー事業に取り組む事務所も増えてきているので、安直に考えるべきではありませんが、異業種が苦しんでいるような悩みは比較的少ないといえるでしょう。 他にも資格業が有望な理由はあるのですが、結論づければ「比較的開業しやすく、そして営業しやすいビジネス」であるといえます。さらに理由を付け加えるなら、営業熱心な人が少なく、ライバルが少ない業界であること、在庫管理が必要ないビジネスであることも有望な理由のひとつです。 ただし、資格業が有望であることと、あなたが成功できるかどうかは、前述のとおりまったくの別問題になります。ここに気をつけなければなりません。