グンゼ史上最高の暖かさ「ホットマジック極」は他の冬用インナーと何が違うのか
ーどのようなラインナップが展開されているのでしょうか。 水野: 大きく、3つのグループからHOTMAGICは構成されています。 綿を使った「綿のチカラ」、真冬に特化した厚手の「極」と「寒さ知らず」、レディースのみではありますが、秋口にも着ていただける「集中保温」という薄手のグループがあります。この商品は、袖口や裾がシームレスでアウターに響きにくい仕様になっています。
ー他社メーカーさんとの差別化はどういった点になりますか。 日和: HOTMAGICのブランドとしての強みは「着心地」にあります。捉え方は人それぞれだと思いますが、僕らが大切にしているのは「ムレない」「動きやすい」「肌に優しい」という3点です。 綿を使うのも肌への優しさを意識してのことですし、「集中保温」は肩がすごく冷えるといったピンポイントでの悩みを持たれている方向けの商品になります。さらには、厳寒期に向けて最高の暖かさを感じられる「極」があります。 このように、お客様それぞれに快適なインナーの着心地があると思いますので、そのニーズに幅広く応えられているのがHOTMAGICの強みとなります。 水野: 技術的な側面では、カットオフやシームレスによって、アウターに響きにくいフラットな仕様になっていることですね。女性の場合重ね着することが多いので、縫い目が重なるとどうしても不快な感じを受けてしまいます。それが解消されるだけでも、女性にとっては大変うれしいことだと思います。 また、例に挙げた「集中保温」は、ロングセラー商品になっていまして、冷えやすい部分にボーダー状に吸湿発熱繊維を編みこむことで集中的にその部分を暖めることができます。 商品ごとに細かい技術が織り込まれている点もHOTMAGICの特徴になります。
1枚で肌着7分の暖かさ「極」
ー「極」シリーズが生まれた背景を教えてください。 水野: 冬用のインナーとして、開発当時から最大の暖かさを実現したいという思いがありました。既存のラインナップよりもよりさらに暖かく、真冬に特化したアイテムの開発です。 ここでも意識したのはやはり「着心地」です。肌着7枚分の暖かさを訴求しても、分厚くて動きにくいのでは意味がありません。軽くて、肌触りのよいふわふわした質感をどう実現するかを考えました。 ですが、開発は困難の連続でした。暖かさを確保しようとすると、どうしても生地が重くなったり、ストレッチがなくなったりしてしまいました。素材の選定を繰り返し、素材にあった最適な編み方のバランスを確立し、最終的に商品化することができました。 ー編み方の秘訣をお話しいただくことはできますか。 日和: 具体的な編み方については特許を取得しているので、残念ながら詳しいことはお伝えできませんが、こうした開発が実現できた秘訣はお伝えできます。 僕らはこれまで「着心地」を求めて研究を行ってきたので、生地に厚みがあるように見えても、薄くて軽さを出すノウハウを持っていました。実際「極」を開発する前には、肌着5枚分の暖かさを持つ「寒さ知らず」をリリースしています。 「寒さ知らず」から「極」へ。立ち止まらず、僕らが持てる知見のすべてを注ぐからこそ、新しい技術が開発できるのです。 ーそれでも開発には苦労された点も多いと想像します。 日和: 2002年にHOTMAGICがデビューする前にも、既製の機能性繊維を使用した商品開発に挑戦していました。ですが、僕らが商品において大事にしたい部分がうまく表現できず、四苦八苦していた時期があります。 当時は、そうした機能性繊維の利用と並行して、原料メーカーさんと糸の共同開発にも取り組んできましたが、最終的にはオリジナルの糸を作るしかないという結論に至りました。 僕らが本当にお客様に提供したい価値は何かを考え、それを実現できる方法を常に選択してきたとも言えます。 着心地や暖かさを重視した結果、生地自体は厚みが増したように見えます。洗濯後の乾きやすさなどお手入れの面ではいかがでしょうか。 水野: 「極」シリーズを見ていただくと、確かに他の商品と比較して厚めの生地だと感じると思います。ですが、これは太い糸を使って分厚くしているのではなく、嵩高を出し、暖かい空気層を保持するような糸を使って仕上げているためです。 そのため、ご家庭で洗濯しても乾きやすいという手軽さを確保しつつ、暖かさも感じられるというバランスの取れた商品になっています。