挑戦心を持って戦う名門・那覇西が前回決勝の雪辱。MFチメズの先制ヘッドなど3-0で快勝:沖縄
[11.2 選手権沖縄県予選準決勝 那覇西高 3-0 名護高 タピック県総ひやごんスタジアム] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 3年連続で決勝進出を決めた那覇西高。昨年、一昨年と2年連続PK戦で敗れ全国切符を取り逃がしたものの、忸怩たる思いを抱える那覇西のプライドは決して引き裂かれず。覇権奪還へ焦点を定めた。 準決勝で相対した名護高は昨年の決勝、0-0のまま延長を終えた末にPK戦で敗れた相手である。那覇西の運天直樹監督は「去年あの(決勝の)ゲームで点が取れなかったこと。PA内に入る人数を増やそうというところから(新チームが)始まった」とし、「当時の悔しさを知る與古田(頼)ら3年生が準決勝を前に『もう一度初心に立ち返ろう』と声がけし、強い気持ちを持って臨めたと思う」と、挑戦心がチームに良い雰囲気をもたらしていると指揮官は話した。 先取点は、180cmを誇るボランチのチメズ・ビクター・チュクンマ(3年)の頭から。前半20分、DF亀田安澄(3年)のFKからひとり制空権を握り、ネットを揺さぶった。セットプレーの練習は「ほとんどしていない」(運天監督)が、チーム内で「ヴィッキー」と呼ばれている彼が高校2年のときに急激に身長が伸びたことで「どんどん俺に合わせてこいと言っている」と、身につけたヘディングへの自信が数字となった。 その5分後、今度はワイド攻撃からFW與古田頼(3年)が追加点をあげる。「クロスをあげた(玉寄)一星とは日頃から話しあっていた」と、ボックス内で自分の空間を作った與古田が待ち構えるところへ正確な右クロスが入り、胸トラップから右足シュート。一度GKに止められるも、「誰が打ったシュートに対しても常にこぼれ球を意識している」と、誰よりも早く反応した與古田が跳ね返りをゴールへと流し込んだ。 後半、2点を追う名護のプレッシャーに受け身となる場面が続いたが、主将のDF上地克幸(3年)は「今まで無失点できたことが自信につながっている」と、準決勝までの3試合[25ゴール無失点]の完封で勝ち上がったチームは冷静さを失わず。自陣PAへの進入を防ぐ粘り強い守備で跳ね除け、我慢の時間も冷静に対処した。 綻びを見せないまま迎えた後半31分。左サイドで攻撃のカギを握るFW久貝優斗(3年)が均衡を破る。右寄りの攻めを続ける那覇西は、逆サイドで浮いた久貝が3人目の動きを狙って快足飛ばしPA内へ進入。グラウンダーのクロスに中央でFW玉寄一星(3年)がつぶれ、「練習から意識していた形から上手く結果につながった」と、反応した久貝が冷静に決め、決着をつけた。 「点差を守り切るよりも、攻め抜くサッカーで戦っていきたい」(運天監督)。鍛錬したビルドアップで主導権を握った那覇西はリベンジを果たした準決勝を経て、宜野湾高との決勝で2020年以来の頂点へ挑む。 (取材・文 仲本兼進)