子育て支援は少子化対策になる?女性限定「結婚&移住で60万」案には批判殺到…政府が次に取り組もうとしているプレコンセプションケアとは
■“今子どもが居る人”への支援は少子化対策になるのか
安藤デスク 「『消滅可能性都市』と言うとわかると思うんですが、どんどん若い女性が減っていくと、将来的にはこの都市は消滅しちゃうんじゃないかみたいなことを調査して発表している人口戦略会議のメンバーの人たちが、レポートとは別に自分の思いを一人一人発表して書いているものがあります。その中で、不妊治療のエキスパートとして知られる齊藤英和医師のコメントとして、『思春期からプレコンセプションケアを受けた方が良い。社会として、20代、30代の健康管理システムにプレコンセプションケアを入れた方が良い』と提案しています」 庭野解説委員 「お医者さんからすると、不妊治療でこんなに苦労するなら40代になって来るんじゃなくて、もっと前にいろんなことをして欲しかったという思いはすごくよくわかりますね」 「政府は地方創生を目指す中で、若い女性がどんどん地方から都市部に出ていってしまうことが問題なんだということで、『結婚を理由に地方に移住した女性には60万円を支援する』という案を検討していたんですけれども、『なぜ女性だけなのか』とか『地方に移住しても仕事がないんだから、仕事をつくるのが先だろう』などという批判を受けて、案を事実上撤回しました」 「戦時中に日本政府とか、あるいはドイツのナチスなどが『お国のために産めよ増やせよ』といったようなことを呼びかけました。その反省から、妊娠や出産はあくまで個人の問題で、国のためにすることではないので、強制したり、あるいは促したりするということには根強い反発がありますし、政府もそういったことに躊躇があります。国が『プレコンセプションケアを頑張りましょう』みたいなことってちょっと言いにくい部分があるんですよね」 安藤デスク 「そういったこともあってなのか、これまでの政府が出す少子化対策、このあいだの異次元の少子化対策もそうですけれども、出産を増やすんじゃなくて、今子どもがいる人たちの支援ばかりでした。そんな中で8月30日に人口問題と育児支援の『機運醸成実行計画』が発表されたので、ついに出産の機運を醸成するのかなと一瞬思ったんですけれども、やっぱり育児しやすい環境づくりの機運醸成ということでした」