わずか3・5% 女性消防士の活躍推進を 取り巻く環境や救助活動の経験など語る/京都・福知山市
京都府女性の船ステップあけぼの福知山支部(水谷淑子支部長)は25日、福知山市東羽合の市防災センターで防災学習会を開いた。会員ら50人が参加し、市消防本部警防課の小林有紗係長から、女性消防士を取り巻く環境や能登半島地震の被災地での救助活動で感じたことなどの話を聴いた。 全国的にも数が少ない女性消防士から、その必要性や防災について学ぼうと、同支部の今年度事業に盛り込んだ。 消防庁によると、全国にいる消防職員のうち、女性の割合は昨年4月1日時点で3・5%。同様に24時間態勢で現場活動を行う組織を持つ自衛隊の8・7%や警察の11・4%などと比べても低い。福知山市消防本部では現在、約130人の職員がいて、このうち女性消防士は10代~40代の5人が勤務している。 小林さんは、消防に女性が少ないことについて、「圧倒的に男性が多い組織は、無意識に男性中心の考え方や働き方が定着し、女性が活躍しにくい環境を生み出す可能性がある」と話す。 1994年に女子労働基準規則が改正されて以降、女性職員の24時間勤務が可能になるなど職域が広がった一方で、全国的にはまだ女性職員がいない消防本部もあり、在籍していたとしても担当業務は現場業務から離れた、予防や救急業務が圧倒的に多いという課題も残る。 「女性が活躍できる領域は徐々に広がりつつあるが、さまざまなキャリアステップを描けるにはまだ不十分と思います。消防士になりたいという人が増えるよう、今後も組織的に女性の活躍推進に取り組んでいくべき」と訴えた。
被災地では女性としての苦労も
元日に発生した能登半島地震で被災した石川県珠洲市に、第11次緊急消防援助隊・京都府大隊の一員として1月31日から2月4日まで現地に入った小林さんは、早朝から深夜まで活動する隊員を支援する「後方支援隊」として、宿営地の管理や食事の準備などを行った。 「救助活動の1日目から生理がきてしまい、『体調が悪くなったらどうしよう』という不安もあったが、それでも被災地の助けになりたいという気持ちが強かった」と語る小林さん。生理用品は自身で持ち込んでいたが、食料や水分には限りがあり、雪が降り積もる環境で任務を全うした。 「ただでさえ過酷な環境である被災地に、女性隊員がわざわざ行かなくてもよい、という意見も理解できますが、女性だからこそ気付けることやできることがあると思います。何よりも女性が被災地に行ったという実績が積み重なることで、今後の女性消防士の活躍の幅が広がっていけばと願っています」と締めくくった。