2024年に登録されたヨーロッパの世界遺産全7件、イタリアのアッピア街道ほか
ローマ帝国の国境線から彫刻家ブランクーシによる作品群まで
2024年、1000件を超えるユネスコ世界遺産に、日本の佐渡島の金山を含む新たな場所が加えられた。ヨーロッパからは今回、19世紀ドイツの大公国の都や生物多様性に富んだボスニア・ヘルツェゴビナの洞窟などが登録されている。一度は訪れたいヨーロッパの新しい世界遺産を紹介する。 ギャラリー:アッピア街道沿いの遺跡など、最新の欧州の世界遺産 写真4点
1. トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群、ルーマニア
第一次世界大戦中にルーマニアの都市、トゥルグ・ジウを守って亡くなった兵士を称えるために1937~1938年に制作された記念作品群。ルーマニア出身で20世紀を代表する彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシによるもので、「英雄の道」によって結ばれる3つの抽象彫刻から成る。 高さ約30メートルの鋼鉄製の彫刻「果てしない柱(無限の柱)」から、丸い石のテーブルが時間を表す「沈黙のテーブル」までの道筋をたどりながら、見学者たちは犠牲になったルーマニアの英雄たちに思いを巡らす。この場所は彫刻、景観、工学が融合し歴史を反映していることで知られている。
2. アッピア街道、イタリア
「街道の女王」との異名を持つアッピア街道は、ローマ街道の中で最初に着工された最も重要な街道だ。ローマと南東部の港町、ブルンディシウム(現在のブリンディジ)を結ぶこの全長約580キロの石畳の道は、農業生産と商業を促し、新たな植民地とローマ帝国の成長と発展を支えた。 街道の敷石の両側にはローマ時代に馬車が通ってできた轍(わだち)が残る。たどって旅をすればイタリアの遠い過去にタイムスリップした感覚になるだろう。アッピア街道の登録でイタリアの世界遺産は世界最多の60カ所となった。
3. シュベリーンの邸宅群、ドイツ
青い水をたたえるシュベリーン湖に囲まれた精巧な伝統的ドイツ建築の邸宅群は、38の風景物と建築物から成る。19世紀、メクレンブルク・シュベリーン大公国の都に建設された。 ネオルネサンス建築や新古典主義建築の影響を受けており、堂々たるシュベリーン城を中心に展開する美しい庭園や文化施設はまさに19世紀ドイツ文化を凝縮したものといえるだろう。