都知事選の政見放送を見て呆然…「NHKvs.NHK党」必死の攻防戦と、ここまで無秩序になった「歴史の必然」
知名度選挙の果てのタレント知事
いったい都知事選とは何なのだろうか。そんな疑問もわいてくるが、その元をたどれば、1995年の都知事選に遡る。 このときは、タレントで放送作家の青島幸男が当選した。青島は、それ以前、参議院に立候補したときから政見放送と選挙公報以外、選挙活動を一切やらなかった。それも、その存在がよく知られていて、名前を売る必要がなかったからである。 青島は170万票を獲得し、共産党を除くほかの主だった政党が支持した石原信雄に45万票以上の差をつけて当選した。 しかし、都知事としての青島がやったことは、公約に掲げた都市博の中止だけで、都議会がオール野党だったこともあり、他に実績はほとんどなく、1期で退いている。 都民としては、これに懲りて、それ以降は、たしかな行政手腕を発揮できる都知事を当選させるべきだったかもしれない。 しかし、その後に都知事になったのは石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、小池百合子であり、作家や学者、ニュースキャスターといった著名人で、その点で青島と変わらない。 猪瀬を除くと参議院議員を経験している点でも、青島と共通していた。タレント議員が都知事になるというパターンが生み出され、今日にまで受け継がれてきている。今回、小池の有力な対抗馬である蓮舫も、元タレントで元参議院議員である。 東京都の有権者は今年6月の時点で1150万人を超えている。これだけの数の有権者がたった1人の都知事を選ぶわけだから、知名度がどうしても重要になる。 猪瀬の場合は、都知事になる前、副知事を経験しているが、基本的にタレント議員しか都知事になれなくなっている。その結果、都知事選は人気投票になった。それで世間の注目を集めることにもなったわけだが、当選するためではなく、自分をアピールするためだけに立候補する人間を大幅に増やす結果となった。NHK党などは、選挙を金儲けの手段にしている。