2024年10月から拡充された「教育訓練給付制度」とは? 制度の概要や給付率の引き上げについて解説
近年、企業のDX推進や転職促進などを理由として、業務において新たに必要となる専門知識やスキルを習得する「リスキリング」が注目されています。 また、働く人の能力開発やキャリア形成、雇用の安定などを図るために「教育訓練給付制度」があります。本記事では、令和6年10月から拡充された、「教育訓練給付制度」について確認していきます。
教育訓練給付制度とは?
これは労働者の主体的なスキルアップを支援するため、厚生労働大臣の指定を受けた約1万6000講座を受講・修了した方に対して、その費用の一部が支給される制度です。具体的な対象講座については、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索できます。 給付を受けるためには、対象講座の受講開始日時点で、在職中で雇用保険に加入していることが原則となります。 また、離職してから1年以内である場合や、今までに教育訓練給付を受けたことがある場合などにも、一定の要件を満たせば給付を受けることができる場合があります。住所地を管轄するハローワークに相談のうえ、支給要件照会の手続きをすることで、詳細に調べることができます。 教育訓練の種類は、それぞれのレベルなどに応じて「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3つがあり、それぞれ対象講座や給付率が定められています。令和6年10月からの改正では、専門実践教育訓練と特定一般教育訓練給付において、給付率などの拡充が図られています。
専門実践教育訓練給付金の拡充
令和6年10月から、給付率が最大70%から80%に引き上げられます。 【令和6年9月30日までに受講開始】 教育訓練経費の50%(年間上限40万円)を支給します(受講開始日から6ヶ月ごとに支給)。 さらに、「資格を取得し、かつ教育訓練修了日の翌日から原則1年以内に雇用保険の一般被保険者等として雇用された場合」、または「一般被保険者等として雇用されていて、専門実践教育訓練修了日の翌日から起算して原則1年以内にその訓練に係る資格を取得した場合」に、追加で教育訓練経費の20%(年間上限16万円)を支給します。 【令和6年10月からの拡充】 上記に加えて、訓練終了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合には、教育訓練経費の10%(年間上限8万円)を追加支給します。 上記のとおり、教育訓練経費の(50%+20%+10%=)80%が給付率の上限となり、年間上限金額は(40万円+16万円+8万円=)64万円となります。