熱海市、「昭和モデルの観光」から脱却、平日の企業研修などビジネス誘客を推進、協業するJTBとの意見交換会を聞いてきた
JTB、「企業はデスティネーションではなく目的で動く」
一方、JTBビジネスソリューション事業本部第六事業部長の宮田広太郎氏は、2023年度の実績を説明。国内の旅行案件約830件のうち、研修関連目的は約120件で、その半分が都内に集中した。熱海での開催は14件で、研修目的はなく、主な目的は大会の開催、役員の懇親旅行、役員会議だったという。 そのうえで、熱海が選ばれた理由として、程よい距離感、バリエーションが豊富な施設、多彩なエクスカーションを挙げ、熱海市が挙げる強みと合致しているとした。 また、宮田氏は今後の取り組みに向けたアイデアを披露。ソフト面では、ビジネス利用としての熱海のブランディングが重要との認識を示したうえで、スタートアップ支援、投資家やインキュベーターの誘致などを提案した。ハード面では、新人研修向けの施設、長期滞在が可能な施設のほか、都内のMICE施設は逼迫していることから、新たなコンベンションセンターの整備の可能性について関心を示した。 さらに、エクスカーションでは、熱海を伊豆半島へのケートウェイと位置付けるアイデアも示した。 このほか、第五事業部長の西田高宏氏は、「企業はデスティネーションではなく目的で動くようになっている」と説明。そのうえで、SDGs関連のチームビルディングへの関心が高まっていることや、1泊1食の宿泊ニーズが増えていることに触れた。 JTBは今後、包括連携協定のもと、都内大手企業向けのセールスを強化。都内ベンチャー企業向けプロモーションとして、3月26日に大手町の3×3Lab Futureで、熱海ビジネス利用促進イベント「熱海DAY」を開催する。
宿泊税導入は早くて2025年4月から
JTBからの提案を受けて、齊藤市長は、まずスタートアップ支援について言及。イノベイティブインサイトと親和性が高いため「ぜひやっていきたい」と意欲を示した。また、コンベンションセンターについては、中小規模のイベント開催が可能な500人規模の施設の整備に言及。宿泊税導入に目処が立ったことから、それを原資として整備する可能性に触れた。 宿泊税の導入について、熱海市観光建設部次長の立見修司氏は、今後議会での可決や総務省の承認が必要になるが、最短で2025年の4月に導入される見込みであることを明らかにした。 また、齊藤市長は、宿泊施設の泊食分離について、市として支援していると発言。市内での消費拡大に向けた取り組みに力を入れていく考えを示した。
トラベルボイス編集部