<ハリス陣営最後の賭け>トランプ「危険な資質」徹底攻撃は奏効するか
覚悟を決めたハリス陣営
こうした動きに関連して、AP通信は同25日、「ハリス候補、投票日直前にトランプ個人に照準」の見出し記事を発信、「前大統領に対する恐怖感によってハリス支持者や態度未定有権者を少しでも自陣に引き寄せようとする賭けであり、アメリカン・デモクラシーという哲学的問題を一般市民の日常的関心事に結びつけようとする挑戦を意味している」との解説を加えている。 実際に、土壇場でのこのようなハリス陣営によるトランプ個人攻撃がどれほど票に結びつくかは未定だが、同28日付けのニューヨーク・タイムズ紙取材担当者共同執筆による詳細な分析記事は、「ハリス陣営側近者たちの間では、勝利の公算について『慎重な楽観論』が広がりつつある」として、以下のように伝えている: 「民主党のトップ・ストラテジストたちは、トランプ前大統領を『ファシスト』と位置付ける選対本部の企てが、接戦諸州への作戦拡大および妊娠中絶問題で意気盛んな女性有権者たちのパワーと相まって、ハリス候補を薄氷ながら勝利に導くことになるとして、これまで以上に気を良くしつつある。トランプ側近の何人かさえ、ヒトラーをたたえるトランプ候補に“新進の独裁者”のレッテルを張ろうとする動きによって、わずかだが(勝敗上)意味ある人数の有権者が投票態度を動かされることを心配している」
「民主党当事者たちの間で、近代の大統領選挙の中でも今回ほど、投票日目前まで多くの州で大接戦となった例はないことを疑う人はほとんどいない。接戦諸州でのさまざまな世論調査結果でも、優劣は誤差の範囲内であり、1ポイントか0.5ポイントの違いが勝敗を決することを示している。しかし、最近の数週間こそ、両陣営の戦況が著しく拮抗するにつれて、民主党内で不安が高まった時期もあったが、今では『控えめな自信tempered confidence』が台頭している。そして、ハリス氏個人や党リーダーたちも、選挙戦開始以来の『ハリスは劣勢』だとしてきた自重気味の警戒感さえ破棄し始めた」 「民主党系政治献金団体の一部に異論があるものの、ハリス氏側近たちは、トランプ候補をファシズムと結びつける論陣が共和党穏健派を自陣に引き寄せつつあると信じている。民主党関係者たちも、(トランプ氏が当選した)16年大統領選挙以降、様々な議会選挙などを通じ、彼を『国家分断主義者』と形容することで勝利を得て来たことに自信を深めている。この点で、トランプ氏がヒトラーを評価してきたことや、ファシスト的思想の持主であることを暴露したケリー前大統領補首席補佐官の発言によって、態度未定のユダヤ系有権者が動かされることをトランプ側近の何人かも心配している」