時計界のアカデミー賞「GPHG」受賞作を引っ提げ来日したレイモンド・ウェイルCEOに「優良価格」の秘訣を聞く
–特徴であるセクター文字盤には複数の色や仕上げが使われており、これだけでも非常に価値を感じます。一体、どのような工程で作っているのですか? 「残念ながらそれは秘密です」 ※1:小売価格が2000スイスフラン(日本円で約35万円)以下の腕時計を対象にした賞 ※2:アール・デコ様式の影響を受け1930年代からよく見られるようになった円と放射を組み合わせた文字盤デザイン
優良価格の秘訣はサプライヤーとの信頼関係
–色々とこだわりの詰まったミレジムですが、一番気になるのは価格です。スモールセコンドの時計で34万1000円、センターセコンドの時計では28万6000円です。確かに機能はシンプルですが、クオリティを考慮すると“破格”と思わざるを得ません。 「まず前提として、プライスを維持することはレイモンド・ウェイルの強みです。確かに、時計業界では材料費や燃料費、為替変動に伴う価格高騰が続いています。ですが、私たちは他社に追随して価格を上げるということはまったく考えていません。ではなぜそれが成立するのかというと、サプライヤーとの協力関係があるからです」
–協力関係があるだけで価格は抑えられるものでしょうか? 「いまの時期だけを見ると不思議に思われるのも無理はありません。ただ、時計業界の状況は私の祖父が創業した1976年から何度も困難な時期を経験してきました。私たちが厳しいときもあれば、サプライヤー側が苦境に立たされることもありました。そうした時期にお互いに支え合ってきたからこそ、いまの時期でもブランドの特徴である品質と価格の両立が可能になっているのです」 –ちなみにミレジムにはスモールセコンドとセンターセコンドのどちらにも日付がありません。カレンダーの有無は社内で議論になりませんでしたか? 「もちろんありましたが、ファーストコレクションはトラディショナルがテーマにあったので、結果的に日付をなくすことにしました。あくまでも今回のコレクションに関しての決断で、これからミレジムのバリエーションを増やす中でカレンダーやムーンフェイズがついたモデルを出す可能性はありますよ」