【時系列でわかる⑫】ハマス側、エジプト提案の“終結計画”拒否~ロイター通信(16日~25日)
■12月21日 ガザ地区 人口9割が「飢餓」危機的レベル 食料不足が深刻化
イスラエル軍の攻撃が続くガザ地区では食料不足が深刻化する中、人口の9割が危機的なレベルの飢餓に直面しているとの報告書が出ています。 21日に発表された食料危機などに関する報告書はガザ地区の食料不足は壊滅的な状況で人口の93%が危機的なレベルの飢餓に直面していると指摘しています。住民は深刻な栄養失調に陥り、飢餓のリスクは「日に日に高まっている」ということです。 さらに、WHO(=世界保健機関)は多くの人が飢餓により免疫が低下しているとしたうえで避難所ではトイレやシャワーが不足し清潔な水も行き届いていないため、感染症が急増しているとしています。人道状況が悪化の一途をたどる中、WHOは「即時の人道的停戦を改めて要求する」と訴えています。
■12月21日 イスラエル軍“ハマスの主要な地下トンネル網を破壊”映像公開
イスラエル軍は21日、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織「ハマス」の主要な地下トンネル網を破壊したとする映像を公開しました。 イスラエル軍が新たに公開した映像では、多くの建物が立ち並ぶエリアで広範囲にわたって爆発が起き、炎と煙が上がる様子が確認できます。 イスラエル軍の報道官は21日、ガザ市中心部の地下に広がるハマスのトンネル網を破壊したと明らかにしました。この一帯はハマスの中心拠点で、地下トンネルは指導部の隠れ家など様々な重要施設をつないでいたとしています。 また、10月7日のイスラエルへの攻撃についても、ハマスの指導部は、この地下トンネルから指揮していたと主張していて、報道官は「重要なインフラの破壊により、ハマスは戦略的な能力を失った」と意義を強調しました。
■12月22日 ガザ地区の人道支援拡大決議を採択 米露が棄権…イスラエルが反発
パレスチナ自治区ガザ地区での人道危機が深刻化する中、国連の安全保障理事会は22日、人道支援を拡大するための決議を採択しました。 イスラエル軍による空爆は22日も続き、ガザ地区南部の病院には、けが人が次々と運び込まれていました。人道危機も深刻化していて、国連機関は、必要な食料の1割しか搬入されていないと訴えています。 こうした中、国連の安全保障理事会は22日、ガザ地区での人道支援拡大を目的に「敵対行為の持続可能な停止に向けた条件整備」を求める決議を採択しました。 決議では、国連のグテーレス事務総長に対し、ガザ地区への支援物資の搬入を調整、監視する国連の担当者を任命するよう求めています。 当初、採択を目指していた決議案は、「敵対行為の一時停止」を求めるものでしたが、イスラエル寄りの姿勢を崩さないアメリカが難色を示したことを受け、決議の内容が後退した形です。 採決は、日本を含む13か国が賛成、アメリカとロシアが棄権しました。 これを受けてパレスチナの国連大使は、「正しい方向への一歩だ」と歓迎した上で、改めて即時停戦を訴えました。 一方、イスラエルの国連大使は、イスラム組織ハマスへの非難が含まれていないことについて、「恥ずべきことだ」などと反発していて、今回の決議が事態の沈静化につながるかは不透明です。