NASA、ISS運用終了の2030年までスペースXらとの貨物輸送契約を延長–契約総額は2兆2000億円
米航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の運用が終了する2030年まで貨物輸送を継続するため、3社との契約を延長した。 NASAが米国時間11月8日に明かした調達資料によれば、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン) 、Sierra Space(シエラスペース)、Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)と2026年末に期限切れとなる既存の「商業物資輸送サービス(CRS-2)」を2030年末まで延長する。NASAの計画では、ISSは2030年に退役する予定となっている。 「現在、ISSに物資を補給するCRS-2として認定された宇宙機は、他に存在しない」とNASAは契約延長に関する書類で述べている。「既存契約の延長は、ISSの運用延長の期間中、これらのサービスを継続的に提供するための最も効果的な手段である」 CRS-2の契約総額は140億ドル(約2兆2000億円)を超えない金額で、契約を2030年まで延長しても、その上限に達することはないと説明されている。NASAはこれまでにCRS-2として、Northrop Grummanに27億ドル、Sierra Spaceに14億ドル、SpaceXに28億ドルの合計69億ドル(約1兆1000億円)を支払っている。 NASAは、今回の契約を延長する前にISSへの貨物輸送が可能という、GraviticsやThe Exploration Company、GEPA Logisticsの3社から情報を提供してもらい評価した結果として、今回の契約延長を決断した。 ISSへの物資補給には現在、SpaceXの「Cargo Dragon」やNorthrop Grummanの「Cygnus」が運用されている(Sierraの「Dream Chaser」は実運用前)が、ロシアの「Progress」も運用されている。調達資料の中でNASAは「Progressへの依存に代わる、信頼性の高い米国ベースの輸送システムを維持する」ことが重要であると明かしている。 ISSへの貨物輸送では「冗長な打ち上げ能力を持つことが極めて重要」と説明。そうした条件から、Northrop GrummanやSierra、SpaceXという「既存の3社以外には、物資補給ミッションの継続に必要なサービスを提供できる企業は確認されていない」と決断の理由を説明している。
塚本直樹