ゴルフの「障害者スポーツ」としての認知度自体がまだまだ低いと実感【50代の女子大生が学ぶゴルフとリハビリテーション】
一昨年4月に、筑波大学社会人大学院の”女子大生”になった週刊ゴルフダイジェスト編集部Y。いよいよ修士論文について語りたいと思う。今年に入りボロボロの状態ではあったが無事提出。ここにくるまでには紆余曲折あった。
修士論文を甘く見ちゃいけない!
修士論文は、2年間の大学院生活の集大成である。数十年前、最初の大学生活の卒業論文の記憶も薄れている自分にとって(フランス革命時代のファッションと文化・思想の関連について……でした……)、大学院の先輩方の修士論文を読むたびに、頭がくらくらしていた。自分にこんなものが書けるのかと。 入学時は、障害者が行うリハビリテーションとして、ゴルフというスポーツは有用に違いないと考え、それを研究・証明するために、アンケートを取ったり、ギアーズなどで実際の動きを分析したりしたいなあと考えていた。このざっくり感と「広く浅く」思考するクセがついている自分の甘さを痛感させられた。 まずは1年時から行ってきた先行研究の調査だ。研究というものは、今までの研究の積み重ねの上にある。先行研究から学んだり、ヒントを得たりすることはとても大事なこと。だから研究者たちは、日々論文を何本も読むのだ。現代の文献検索はインターネット検索が主であり、キーワードを入れて膨大な資料のなかから選び出す。デジタル化は研究者にとって便利になったのか、何らかを取りこぼしてしまうこともあるのか。いずれにせよ“道具”として使いこなすべし。ポイントはキーワードの入れ方だ。 私は、日本語と英語の文献を検索しまくった。日本の文献でなかなか該当するものは少なく、車椅子バスケの研究は散見されたがゴルフの「障害者スポーツ」としての認知度自体がまだまだ低いのだなあと感じる。海外の文献では、ここ10年くらいで、障害者に対するゴルフというスポーツのさまざまな効果に関する研究が増えているのがわかる。 結果、先行研究が少ないのだから、障害者ゴルフの全体的な傾向を見ることがまず必要ではないかと感じ、また世界一のゴルフ大国アメリカと比較することで、日本の課題もより見えてくるのではないかと研究を進めることにした。日本障害者ゴルフ協会の代表理事に相談すると快く「協力しますよ」と返答をいただき、アメリカの障害者ゴルフ団体の事務局長にもメールで依頼してくれた。 さて、研究調査には信頼性と妥当性が必要である。研究計画を立てるところから常に考え、アンケートを作成する際にもこれらを検討しながら行う。そして大学などの倫理審査を通して研究を開始する。多くの研究は、これらの手続きを真摯に行っているのである。