個人株主、5000万人時代 「株式分布状況調査」で浮かび上がった特徴点
「いろいろな投資家がいるけれど、日本全体として見た場合、株式の保有状況はどうなっているのだろうか」。こんな疑問をお持ちの方に、ぴったり答える調査書がある。全国4証券取引所(東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所)が6月26日に発表した「2017年度株式分布状況調査」だ。その中身を見ると、冒頭、2017年度の個人株主数は「初めて5000万人の大台を超える結果となった」とある。えっ! 5000万人? そんなにいるのか――。こう、思われるかもしれない。また、高水準の海外投資家の株式保有比率は変わっていない。興味深い日本の株式保有構造の“見取り図”と、その特徴を紹介しよう。 (解説は証券ジャーナリスト・駿河一平)
今回、国内4証券取引所による「2017年度株式分布状況調査」の調査対象会社数は3687社。その調査結果をまとめたリポートで、まず、驚かされるのが、個人株主数だ。 同リポートの最初に、分布状況の「特徴点」として、「個人株主数は、前年度比162万人増加して5129万人となり、初めて5000万人の大台を超える結果となった」と書かれている。総務省の調べによれば、日本の総人口は約1億2600万人。5129万人といえば、総人口の半数近くが株式を保有していることになってしまう。本当か?とだれもが感じるだろう。
じつは「延べ人数」の数値
もちろん、そんなことはない。実は、この「5129万人」という数字、正確にいうと「延べ人数」なのだ。取引所が株主数を調査する際、上場会社の個別株主の「名寄せ」ができないことから、個人株主数は「単純合算」の数値となる。つまり、ある個人投資家が3社の株式を保有している場合、結果として個人株主数は3名として計算される。したがって、「実人数」からはかけ離れた、ある意味ではバブルっぽい“見掛け”上の膨大な人数となる。と言っても、厳密に日本の個人投資家が一人当たり平均で何社の株式を保有しているかはつかめないし、過去、ずっと「延べ人数」として調査してきた関係もあって、長期の状況変化をとらえるうえで一つの参考材料になるのは確かだ。