個人株主、5000万人時代 「株式分布状況調査」で浮かび上がった特徴点
2003年からの個人株主数を見てみると
取引所のデータによると、延べの個人株主数は2003年時点で3400万人。その後、05年に4082万人と初の4000万人台乗せを達成した。08年9月のリーマンショックに続いて、09年9月以降の民主党政権下における株式市況低迷、14年4月の消費増税による景気下降なども響き、結局、08年度から14年度の6年間は4400万台後半~4500万人台後半での足踏み状態を続けたものの、日経平均が夏場に2万円を回復した15年度には日本郵政グルーブ3社の上場による効果もあって4944万人に拡大。16年には4967万人と漸増し、17年度にはついに5000万人の大台を突破した。 延べ人数とはいえ、これだけ個人株主数が増えると、株価変動が及ぼす経済への資産効果、あるいは心理的効果は大きくなってくる。「株主資本主義」的な側面が、政治にもますます強い影響を及ぼしていくだろう。
信託銀行の保有比率、「日銀買い」効果で上昇
今回の調査結果の特徴点の2番目は「投資部門別株式保有比率は、特に信託銀行が大きく上昇する結果となった」という点だ。実際、2017年度末(=2018年3月末)時点における信託銀行の株式保有額は135兆6894億円と、16年度末の113兆9319億円に比べ大幅に増えている。外国法人、国内の事業法人、個人など全投資部門に占める信託銀行の保有金額の比率も17年度は20.4%(16年度19.6%)に向上。20%を超えたのは調査を開始した02年度依頼、15年ぶりである。 もっとも、取引所のこのリポートには、なぜ、信託銀行の保有金額と比率がアップしたかについては、まったく触れられていない。しかし、株式市場関係者なら、言われなくとも知っている。デフレ脱却を狙った積極的な金融緩和策の一環として、日本銀行が大規模なETF(上場投資信託)の買い入れを進めており、その委託実務を信託銀行が行っているため、こうした結果になっているのだ。 それにしても、信託銀行の動きを伝える同リポートの解説に、日銀の文字が一つも見られないのは、ちょっと違和感がある。日銀に対する取引所の忖度(そんたく)が働いたのだろうか。