「養育費は月1万6千円です」小児がんの息子を看病する女性を絶望の底に突き落とした通告 「父の日」が襲う恐怖とは…
「結婚しようと思います」。彼がこう切り出し、叔母も「おめでとう」。だがその直後、叔母から驚きの質問が飛んできた。「これから岩手に来て家の面倒を見てくれるんだよね?同じお墓に入ってくれるんだよね?」。松本さんにとって、岩手について行くには仕事を辞めることになる。一瞬、体が止まった。 すると再び「仕事をやめてこっちに来てくれるんだよね?」と問われ、「今はちょっと…。やりたいことをやっているので尊重してほしいです。すぐに仕事を辞めるのは難しいです」と答えた瞬間、その場の空気が一気に変わるのを感じた。叔母がたたみかけた。「でもその覚悟で結婚するんだよね?」 その場の空気と、つわりによるめまいで、彼を連れて席を外した。彼とは口論になった。「さっきから自分たちの都合ばかり。子どもの人生は子どものもの。こんなことなら東京から出たくない」。そのままホテルに戻った。 翌朝、再び彼の実家を訪れると突然、「その辺、散歩してきたら?」と追い出された。
叔父とその子どもと1時間ほど車で周囲をドライブし、戻ってくるなり彼の祖父がこう言った。「いろいろ話し合ったけど、ちょっとまだ嫁として迎え入れるのは…」「結婚は子どもが生まれてからでいいのでは」 自分の表情には怒りの感情が出ていたと思う。それでも極力、冷静に話すことに努めた。「どういうことなの?」と彼に聞いたが、彼は口ごもるだけだった。指輪を彼に返し、すぐにその場を去った。 帰り道、2人でさんざん話し合った。「母親の面倒を見ないとは一言も言っていない。でも今仕事を辞めて岩手に行くのは現実的じゃない」。彼の返答は「家族にも愛してもらわないといけないから」。 帰宅後、すぐに叔母に電話した。「あなたは常識がない。順番を間違えたのにすみませんも言わない」。「順番」とは、結婚してから子どもをつくることを意味していると思われた。これ以上こじれさせてもいけないと思い、謝った。すると「結婚は2人で決めていい」と言われた。ただ、電話を代わった叔父からは理不尽な言葉をぶつけられた。「あんたのそのキレやすいところが、子どもに遺伝したらどうするんだ」 ▽募る不信感