【トランプ復帰は台湾に追い風?】対中人事に期待を持つも不安も残る頼清徳政権
頼清徳は長期間にわたり、米台間の友好関係はこの地域の安定の主たる柱の役割を果たしてきたと述べた。確かに、米国は台湾にとって最も重要な「支援者」であり多額の武器を台北に売却してきた。このような「台湾関係法」に基づく米国の役割は「曖昧政策」の一部となっており、中国が台湾への軍事侵攻を行おうとするとき、米国政府が介入するかは、「曖昧」なままに残されている。 台湾は少なくとも国内総生産(GDP)の10%を台湾自らの防衛予算とし規定すべきではないかというのがトランプの主張であるという。ちなみに、現在、台湾はGDPの2.45%を防衛予算として使用している。また、蔡英文総統下で、住民の徴兵制の義務を4カ月から1年に引き上げ、民進党政権が自ら台湾防衛のために尽力してきたのも事実である。
台湾も着実に防衛高める
頼清徳は就任後初めて、南太平洋の3つの島嶼国を総統として訪問し、途中、ハワイ、グアムに立ち寄った。蔡英文は中南米歴訪の際に米国に立ち寄ったことがあったが、このような米国立ち寄りは、今や慣例化しているようだ。中国は、これに対し、台湾周辺での軍用機、軍艦による威嚇行動を行う。 頼清徳にとっては、台湾は主権の確立した「中華民国」(台湾)であるが、敢えて「台湾独立」を主張することによって、中国を刺激、挑発しないという中で、「現状維持」による対等の話し合いを行おう、というものである。なお、顧立雄・国防部長(大臣)は、台湾が国防予算を着実に増やし続けると述べている。
岡崎研究所