鳥羽周作シェフが語る、レシピの「編集」とVaundyの共通点とは?
「お客さんのために」ということだけ
―鳥羽さんは自分のスタンスを貫く強さを持っていらっしゃるし、「鋼のメンタル」みたいにメディアで書かれることもあると思うんですけど、とても繊細な方なのではというふうに私には見えていて。 鳥羽:いや、めちゃくちゃ繊細……って、自分で言うのもあれですけど。どこが「鋼」なのかというと、「お客さんのために」ということだけなんですよね。それが常に一番のプライオリティで、「お客さんが喜べば何でもいい」と思っているからこそ、時代に合わせて変化が必要だと思っています。お客さんが求めているものを分かった上で、自分のフィルターを通して「これだ」ということをやる、そういう信念があるだけです。むしろ時代のことを繊細に見ているからこそ貫けることもあると思いますね。もちろん嫌なことを言われたら傷付くし、嫌だなって思うし、自分はそういうことは言わないようにしたいなって思って生きてますよ。……お前が言うなって言われちゃうこともあるけど、わかる人にはわかってもらえると思ってます。そういう意味では、今回の本もすごく「想像」していますよ。 ―鳥羽さん自身は家に帰ってもご飯を作らないけど、仕事や用事から帰ってきて作る人のことを最大限想像したと。 鳥羽:もんきちもそうだと思いますけど、家にあるもので再現性が高いことを大事に作りました。(鳥羽が帯コメントを書いたもんきちのレシピ本『安食材なのに涙が出るほどおいしいごはん』を手に取りながら)もんきち夫婦は、いつも仲良しなんですか? 喧嘩しないんですか? ―ほとんどしないですね。ネガティブなことはあまり家に持ち込まないようにしています。家で愚痴とか言いますか? 鳥羽:いや、一人なので言わないです(笑)。 ―(笑)。 鳥羽:一人ぼっちなので、何も言うことはないですね。よくよく考えたら、俺、一人が好きなんだと思います。仕事の移動も絶対に一人がよくて。1時間の移動とか、隣にいられるのが無理なんですよ。一人でNetflixを見てる時が一番好きですね。 ―では最後に、鳥羽さんにとって「料理」とは? 鳥羽:誰かを喜ばせるための、自分にとって一番自信のある手段ですね。美味しいものを作ることが目的というよりは、料理を通して誰かを喜ばせることが自分のやりたいこと。人を喜ばせられるもので一番自信のあることが料理、という感じですかね。 『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』 鳥羽周作 CCCメディアハウス 発売中 『安食材なのに涙が出るほどおいしいごはん』 家族のための男飯 もんきち KADOKAWA 発売中
Yukako Yajima