鳥羽周作シェフが語る、レシピの「編集」とVaundyの共通点とは?
レストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作が、新作レシピ本『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』(CCCメディアハウス)を出版した。料理人&実業家として、普段からどのように時代のトレンドを読み、今の自身の役割についてはどのように考えているのか。聞き手は、音楽ライターであり、SNS総フォロワー数60万超えの料理×夫婦アカウント「家族のための男飯 もんきち」を運用する、矢島由佳子。なお、「家族のための男飯 もんきち」のYouTubeチャンネルでは、テーマ「パスタ」に特化したスペシャル対談映像を公開中だ。 【動画を見る】パスタについて話す鳥羽シェフ ―今回、なぜパスタにフォーカスした本を出版されたのでしょうか。 鳥羽:レシピとしてパスタが一番いいと思っているのは、プロっぽいものも再現性が高いからです。たとえば、プロがやっているカルボナーラも再現できる。フランス料理は無理じゃないですか。和食も出汁を取らなきゃいけないハードルなどがある。パスタは、時間をかけずにプロっぽいものが作れるし、料理好きの人にとっても手軽にこだわったものが作れるという意味で、最強だと思っています。今回の本は相当やばいですよ。ワンパンパスタから定番、レストランのレシピまで全部入っていますからね。 ―レストランのレシピを企業秘密として隠さずに、惜しみなく世の中に公開するのはどうしてですか。 鳥羽:自分のレシピに興味がないんですよね。去年やったレシピとかも全部忘れちゃっているんですよ。健忘症で、いろんなことを本当に覚えてないんです。インプットしすぎているせいなのか……ダメですよね。しかも、そのレシピを作る人は「自分はコショウをかけた方が好きだな」とか、ちょっといじるじゃないですか。どうせみんな変えるから、ベースのレシピを教えてもどうってことないんですよ。 ―SNSを再開されてから、また次々とバズるレシピやコツなどを発信されていますが、普段どういうふうにトレンドを読んだりインプットをされたりしていますか。いつも着眼点がすごいなと思っています。 鳥羽:コンビニをパトロールしているだけですよ(笑)。1日2回とか行ってますからね。コンビニに行って新商品をチェックして何かを考えたり、そういうことばっかりやってます。TikTokもめちゃくちゃ見ています。「こういう考え方もあるんだ」という発見がありますね。レシピを思いつく時は、散歩してる時か、Netflixを見てる時が多いです。今日もNetflixを見ながら料理のことを考えてたら眠れなくなっちゃって、「朝9時から仕事があるのにどうしよう」と思いながら4時くらいまで起きてました。3時間くらい寝ればいけるので。 ―睡眠3時間! 今はさらに忙しい時期ですか? 鳥羽:忙しいですね。いや、忙しぶっちゃいけないけど。前はすごく忙しくて、ちょっとゆっくりできたなと思ったら、今はまた前と同じくらいになっちゃってます。でもいつも忙しくしていたい人なんだと思います。「休みたい」って言ってるけど、本当は休みがあったらやばいタイプ。休みがあっても何をしていいかわからなくて、何かやっちゃうんですよね。ご飯を食べてたら「これいいな」とか、全部が紐付いちゃうから、レシピのことを忘れることはありません。 ―本のタイトルは「帰ってきたら すぐに作れる、食べられる」ですが、鳥羽さんは仕事から帰って家で料理を作ることはあるんですか。 鳥羽:いやあ……自分は本当に、食べることに興味がないんですよ。やばいんですよ、俺。「サトウのごはん」と「おとなのふりかけ」とか食べてます。 ―へえ! 意外です。 鳥羽:全然作らないです。人に作ること以外、興味がないんですよ。人に作る時は家でも土鍋でご飯とか炊きますけどね。「サトウのごはん」はチンしてから蓋開けて1分くらい待ってから食べると、表面が乾いてめっちゃ美味しくなりますよ。