なぜエディー率いるイングランドはオールブラックスの3連覇を阻止できたのか?
対するオールブラックスも、キックをうまく確保したり、相手の防御の位置取りがやや遅れたりした時は、鋭い攻めを繰り出した。勝負の見えたノーサイド直前も、相手ボールの接点でカウンターラックを決めて攻めに転じた。しかし、及ばなかった。大会3連覇を逃し、オールブラックスは、11月1日の3位決定戦(東京スタジアム)に回ることとなった。 オールブラックスのスクラムハーフのアーロン・スミスは「敵陣に進めなかった。相手の防御のプランがよく、我々のゲームプランを遂行できなかった。接点でも圧力をかけられた。突破しかけた時など、重要な局面でターンオーバーを喫してしまった」と敗因を分析した。 今大会限りで退任するスティーブ・ハンセン・ヘッドコーチは胸を張った。 「私たちは何の後悔もない。オールブラックスは本当にいい戦いをした。きょうは、いいチームに負けたという感覚。負けを被ったが、それを受け止める。スポーツはそういうもの。痛みはあるが、恥ずかしさはない」 これで、これまでオーストラリア代表のヘッドコーチ、南アフリカ代表のチームアドバイザー、そして日本代表ヘッドコーチを務めてきたジョーンズ・ヘッドコーチのW杯での通算戦績は21勝2敗となった。今日27日の準決勝を争う南アフリカ代表対ウェールズ代表の勝者と11月2日、横浜で頂上決戦に挑む。 「来週はもっといい試合をしなくてはならない。相手が誰であろうが、延長戦に突入しようが、スコアが3-3とタイトだろうが、だ。私たちは『今は最高のチームではないが、最後は最高のチームになろう』というプランを立ててきた。1日、1日をこなすだけ。退屈に見えるかもしれないが、ハードワークをして、日本の文化を楽しむ。とにかく試合を楽しむ。これからもそうしていく」 記者会見では、公式発表前のハンセンの新天地について言及。話好きでサービス精神もある。 「彼はニュージーランド代表史上最高の監督だ。今後日本のトヨタ自動車に入ると聞いているが、それによってトヨタ自動車の車は速くなるだろう…(大会の)公式スポンサーではない企業名を言ってしまった。トラブルになるでしょうか」 日本に愛着を持つ稀代の名物指導者は、そう言って記者会見場を爆笑に包んだ。 (文責・向風見也/ラグビーライター)