なぜエディー率いるイングランドはオールブラックスの3連覇を阻止できたのか?
陣地の取り合いでもイングランドが優勢だった。 司令塔のフォードは「ゲームをコントロールしなくては。やるべきことは、(敵陣で)ボールを奪い、相手のペナルティーを奪うこと」と意識していた。エリア獲得率は62パーセントで、前半は7割を超える時間帯もあった。キックの得意なフォードとファレルらがスペースに鋭く蹴り、カバーに回った黒いジャージィへ他の白いジャージィが圧をかける。そんな場面は何度もあった。 イングランド代表は、試合終盤になっても計画を実行し続けた。 外のスペースを破られかけても、抜け出しそうな走者を束になってタッチラインの外へ押し出す。ジョーンズ・ヘッドコーチは、「きょうはフィニッシャー(途中出場するリザーブ組)を先に決めた」とし、ハーフタイムには「最後を締める15人の役割」を確認したという。 そして激戦をこうまとめた。 「オールブラックスと戦うには、フィニッシャーが重要になる。(彼らが)エネルギーと規律を持ってプレーし、試合を仕上げてくれた。その結果、オールブラックスは自分たちの勢いを取り戻せなかった。我々は、彼らが深い位置からプレーするようにしたかった。実際にそうできたのは、ラック周辺で勢いをつけたなかで走れたから。キックチェイスも素晴らしかった」 さらに名将は、「この試合に向け、2年半前から準備していた」とも話す。W杯で優勝するにはオールブラックスは避けては通れないと見て首脳陣同士で研究をスタート。日本代表を率いて南アフリカ代表を倒したのと、よく似た作業行程を踏んでいたのだ。2018年秋の前回の直接対決時も15―16と接戦を演じ、今回への足掛かりを作っていた。 複数の選手が「2年半前からきょうここに立てると決まったわけではないから、1試合、1試合に集中してきた」とする一方、ジョーンズ・ヘッドコーチら首脳陣は今回オールブラックスを驚かせた作戦をじっくりと熟成させてきたのだ。 「彼ら(オールブラックス)は、1週間をかけてこの試合に準備をしてきたが、我々には2年半の準備期間があった。ずっと、無意識的にもこの試合が頭にありました。(オールブラックスに勝つのに必要な)習慣を選手に根付かせた。きょうは、その素晴らしい習慣を目にすることができた」とジョーンズ・ヘッドコーチが明かした。