「HIKAKINと出会ったことがすべてでした」鎌田和樹氏が語るトップユーチューバーたちとの絆
HIKAKINのビートボックスに「これだ!」
「HIKAKINと会ってなかったら僕は今頃何をやっていただろうなって感じですよね(笑)」 【画像】カリスマ起業家 『UUUM』の創業者・鎌田和樹氏の「素顔写真」 そう言って微笑むのは、『UUUM』の創業者・鎌田和樹氏(40)である。『UUUM』は、多くのユーチューバーが所属する業界最大手のマネジメント企業である。チャンネル総登録者数約2800万人を誇るYouTube界のパイオニア・HIKAKINを筆頭に、『はじめしゃちょー』(総登録者数約1700万人)、『Fischer’s』(同約1100万人)など、多くの有名ユーチューバーが所属。そんな鎌田氏だが、昨年、取締役会長を退任。彼の素顔を知るべく、会いに向かった。 東京の新名所・麻布台ヒルズ(港区)に鎌田氏の新オフィスはあった。 「『UUUM』という時代を象徴するような企業を作ることができたのは、僕が20代で光通信の会社員として仕事を叩き込まれたからなんです。それは間違いない」 開口一番、鎌田氏はそう言った。 19歳で入社した光通信で、鎌田氏は店舗開発担当などを務めていたのだが、’11年のある日、携帯電話の販売を任されていた頃、接客コンテストを開催した時のゲストとして登場したのが、HIKAKINだった。当時、彼はスーパーに勤めながら、YouTubeに動画投稿をしていた。 「ユーチューバーか……面白そうだな」 その後、鎌田氏は光通信で最年少執行役員に上り詰めたが、起業を視野に退社。小さな会社を立ち上げ、新たなビジネスを模索していた。そして’13年、とあるパーティで偶然、HIKAKINと再会する。再び彼のビートボックスを観たこの夜、鎌田氏は「これだ!」という思いを感じたという。 数日後、鎌田氏はHIKAKINと会い、「ユーチューバーとは何か?」「生計は?」などと矢継ぎ早に疑問を投げかける。その時、自身の頭の片隅にあった思いを具体化しようと必死だったのである。 ◆なりたい職業ナンバーワンに 「ユーチューバーに関するビジネスをやろう!」 そう思い立った鎌田氏は、社員と原宿の事務所で毎日YouTubeを見続け、チャンネル登録者数の多かったユーチューバーから順に会いに行った。 「彼らは代理店からの仕事をたくさん抱えていたんですが、それらを捌(さば)き切れず、苦労していた。そこから、彼らの仕事の窓口となる事務所を作ろうという流れになっていったんですね」 ’14年に会社は六本木ヒルズ(港区)に移転。トップクラスのユーチューバーたちと次々に契約し、みるみる業績を伸ばしていくのだが……。 「いちばん辛かったのは、ユーチューバーという言葉を理解してもらえなかったことですね。YouTubeって怪しいよね、炎上するよねって。当時まだ市場がなかったので、市場を作り、圧倒的なシェアを取る、それを繰り返すことが会社の規模を広げていくことだと信じてました」 鎌田氏は、営業活動の一方で啓蒙活動も必死で続けた。 「僕にとっては原石、これからの未来溢(あふ)れる人たちを見つけたなと感じていましたし、その影響力も実感していた。ただ、それをどうやって多くの人たちに伝えていくのか、やっぱり難しいことでした」 ’20年、ユーチューバーが「小学生のなりたい職業」のナンバーワンとなる。 「嬉しかった。やってきたことが実ったという瞬間でしたね。新しい職業を作ったというのが、いい体験でしたね」 鎌田氏が『UUUM』を卒業してちょうど1年が経つ。現在はさまざまなプロジェクトを仕掛けようとしている最中だが、盟友HIKAKINとは、″卒業″についてどう話したのか。 「去年の6月27日、その日は『UUUM』の創立記念日なんだけど、ちょうど10年経った日に僕の部屋にHIKAKINを呼んで話しました。『UUUMを卒業しようと思うんだよね』と伝えたら、『寂しいですけど、鎌田さんの人生ですし』というようなことを言ってくれましたよ。彼とは目指すゴールは違っていても、一緒に山を登ってきた感覚はありますからね」 鎌田氏はそう言って、少し寂しそうに微笑んだのだった。 『FRIDAY』2024年10月11日号より 取材・文:小泉カツミ
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