スポーツ現場のAED ラグビー元代表田中史朗さん「救える命が増える」 安静時の17倍のリスク
AEDで救われたサッカー選手、劇的な回復
トークショーでは、東京医科歯科大学病院の救急医・藤江聡さん(AED財団減らせ突然死プロジェクト実行委員)が、AEDで命が救われたサッカー選手を紹介しました。 2021年に開催されたユーロ2020(UEFA欧州選手権)で、デンマーク代表のエリクセン選手が倒れ、試合が中断。選手・スタッフたちによって救命処置が施され、AEDが使われて一命をとりとめました。 プレーに復帰したエリクセン選手は心停止から1100日、ことし6月にユーロ2024で再びゴールを決めるほどまでに。サッカーファンからは「おかえり」「泣いた」などと感動の声が上がっており、AEDを使うことが劇的な回復につながることが分かります。 藤江さんは「マラソンやサッカーなど、激しい運動では心停止の事例が多いです。ゴルフなど人口の多いスポーツも、ふだん運動していない人が突然プレーすると起きやすい傾向があります」と指摘。 ほかにも、ボールが当たるなど胸に激しい衝撃があった場合に心停止してしまうこともあります。 「スポーツは小学生から高齢者まで幅広くやっているもの。この心臓突然死を減らすのは非常に大事です」と話します。 田中さんも「知識を得るのは大事なこと。みんなが知れば、救える命が増えます」と呼びかけます。
スポーツの「エマージェンシーアクションプラン」
日本AED財団では、スポーツのためのエマージェンシーアクションプランを公開(https://aed-zaidan.jp/report/20240703.html)しています。 救命のためには、スポーツ現場では2分以内にAEDを取り寄せ、3分以内に電気ショックをすることが大事。何かが起きたとき、誰がどういう風に動けばいいか、救急車はどう案内するか、といった指針がまとめてあります。 このひな型をもとに、地元のスポーツ大会などでも、緊急時にどう行動すればいいか、事前に把握して考えておいてほしいとのことでした。 実は、2019年に日本で開催されたラグビーW杯の決勝戦でも、キックオフ10分前に、観客が心停止で倒れ、AEDの処置を受けて救命された事案があるそうです。 田中さんは「ファンも熱くなるスポーツ。誰かが知識を持ってくれていると、そんな風に助けることができるので、より安心して観戦できる」と指摘します。 「AEDとスポーツは切り離せないもの。選手もそれを理解して広めていくこと、命を守れることをきちんと発信していきたい」と話していました。