スポーツ現場のAED ラグビー元代表田中史朗さん「救える命が増える」 安静時の17倍のリスク
運動時の心停止のリスクは、安静時の17倍――。急に運動をしたり、胸にボールを受けたりして心臓が止まってしまう事例は、スポーツ現場で「まれなこと」ではないといいます。きょう9月9日は「救急の日」。どんな状況で起きてしまうのか、どんな対策をすればいいのでしょうか。(withnews編集部・水野梓) 【画像】AEDいざというとき使えますか? 救急の現場でまずやること
みんなで理解「命を救う可能性が上がる」
市民にAED(自動体外式除細動器)が解禁されて20年にあわせて、ことし7月に開かれたトークショーでは、ラグビー元日本代表の田中史朗(ふみあき)さんが登壇しました。 AEDは、乱れてしまった心臓のリズムを電気ショックで元に戻す機器です。 ニュージーランドでプレーしていたとき、田中さんはチーム全員がAEDの講習を受けたといいます。 「胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAEDの講習はチームとして取り組んでいました。みんなが理解していれば、ひとつの命を救う可能性は上がるのではないでしょうか」 「1時間ほどで命を助ける知識を得られる。ラグビーだけじゃなくて、いろんなスポーツや学校でやっていければ、救える命が増えます」と話します。
AED、1分遅れるごとに救命率が10%低下
健康そうに思えるスポーツですが、実は運動時は心停止のリスクが安静時の17倍という研究結果もあり、「スポーツ現場における心臓突然死をゼロに」と日本循環器学会や日本AED財団が提言(https://www.j-circ.or.jp/old/topics/aed_teigen.htm)しています。 トークショーでも紹介されたのが、6月末に発生したバドミントンの国際大会での悲しい事故です。 17歳の中国人の選手がプレー中に突然倒れましたが、胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAEDを持ってくるといった処置がすぐには行われませんでした。選手は心不全で亡くなったそうです。 SNSでその動画が拡散され、直後にAED財団が緊急メッセージを発表。 メッセージでは「人が目の前で倒れたら医者の到着を待つのではなく、一秒でも早く、現場に居合わせたコーチ、選手、審判、観客の誰もがとっさに手を貸すことが求められます。まずはすぐに手分けして AEDを取り寄せ、119 番に通報することが重要です」と呼びかけます。 心臓が突然止まってしまった場合、電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下してしまいます。 パッドを貼ればAEDが心電図を解析して、AEDによる除細動が必要かを判断してくれるため、一刻も早くAEDを持ってくることが大事です。