バスケットボール・小池真理子さん|気づいてない良さに気づいてあげたい エリート街道ではなかったからこそ見えた指導スタイルの理想像<後編>
Wリーグに3年で別れを告げた小池真理子さんは、その後はバスケットと無縁の生活を送ろうとしていた。しかし、ある人との縁で再びバスケットと向き合うようになり、いまや子どもたちがアスリートからマンツーマン指導を受けられるサービスや、元アスリートを学校に派遣するスポーツ庁のプロジェクトで日本中を飛び回る日々を送っている。人生を形作ってきたバスケットは、やはり小池さんにとってなくてはならないものとなっているのだ。 取材=吉川哲彦 撮影=須田康暉
楽しいバスケットと出会い、3x3で現役復帰
中学校で一度バスケットから離れたのと同様に、小池さんはWリーグ引退後にバスケットから距離を置いた。バスケットで折られた心を癒すためにも、「それまでバスケットのために犠牲にしてきたことをやりたい」と思ったのだが、その道がまたバスケットにつながることとなる。 ――Wリーグを引退した後のビジョンは何か思い描いていたんですか? 小池 もう全く、何も考えずに辞めました。トヨタ自動車に残ることもできたらしいんですが、私にはそもそもその選択肢がなくて、東京に行きたいと思ってました。1年間は心を休ませたいと思って何もせず、エンタメにすごく興味があったので、とにかくライブに行きまくって楽しい日々を過ごしましたね(笑)。 1年経って、これからの人生をどうやって生きていこうかと思った時に、やっぱりエンターテイメントの仕事をしたいと思ったので、麒麟の田村裕さんに相談したら知り合いのツテを探してくれて、ダンススクールに勤めて受付や事務の仕事をしてました。田村さんとはトヨタの試合を見に来てくれた時に知り合って、私が東京に出てからもお食事をご一緒することが何回かありましたし、若手の芸人さんや芸能関係の人たちが集まるバスケットにも誘っていただいて、たまに行ってたんです。 ――田村さんといえばTOKYO DIME.EXEのオーナーの1人でもありますね。トヨタを辞めてから5年ほどのブランクを経て、3x3で現役に復帰されることになりますが、そもそも3x3のことはどれくらいご存じだったんでしょうか? 小池 そんな競技があるなんて全く知らなかったです。始める時はもちろん田村さんにも声をかけていただいたんですけど、先に誘ってくれていたSANKAK.EXEに入り、翌年TOKYO DIMEに移籍しました。 ――3x3のことを知って、すぐにやりたいと思ったんですか? 小池 引退してから10キロ太ったので、ダイエットしたいってずっと思ってたんですよね。復帰する前の最後の1年は結構しっかりバスケットをやるようになって、バスケットは一番良いダイエットだし、何より楽しいなって思えたんです。シュートを外そうがミスしようが怒られることもないし、ただみんなでゲラゲラ笑いながらバスケットをして、終わったらみんなでご飯を食べて楽しく喋って、「こんなに楽しいバスケットがあったんだ」って。そんな時に3x3と出会ったんですよね。逃げるようにWリーグを去った身としては「もう1回チャレンジできる場所があるんだ」と思って、すぐに決断しましたね。結局5年プレーして、競技としてやるバスケットはやりきった感じがありました。すごく結果を残せたわけではないですけど、楽しいと思えたまま辞めることができたなと思います。