パリ五輪 でアスリートたちがこぞってオタク趣味を披露。体育会系とオタクの分断はもはや過去のものなのか?
いま、アニメがクール
世代間のアニメへのイメージの変化も、ことしの五輪でアニメモチーフが爆発的に増えた原因のひとつと言える。ミレニアル世代や初期Z世代の一部はいまだにアニメをオタクの領域と考えているかもしれないが、こうした認識はZ世代やアルファ世代(2010年代以降生まれの世代)の若いアスリートにとって、もはや問題にならない。彼らはアニメに囲まれて育ったからだ。 五輪出場アスリートの平均年齢は26.5歳であり、ことしのオリンピアンたちがもっともアニメ愛が強い層の中心だったことに驚きはない。 「90年代アニメのリバイバルや、大作映画のヒットも確実に影響した」と、電通のグローバル最高クリエイティブ責任者を務める佐々木康晴氏は語る。「『ライオン・キング』や『トイ・ストーリー』を見て育った世代が現在のブランドの意思決定を担っている。彼らはアニメや、アニメファンの献身性を本能的に理解している」。 トップレベルのスポーツは、いつの時代もクールなものの代名詞であり、インスピレーションの源であり、世界中の人々の憧れだ。今夏、世界の目が注がれたスポーツイベントは、アニメモチーフであふれていた。パリ五輪でアニメが脚光を浴びるなか、マーケターはより広範に起こっている文化的転換に注目するのが賢明だろう。要するに、いまアニメがクールなのだ。 「多くのアニメファンが、五輪で繰り広げられる人間離れした肉体的な神業を、ファンタジーの世界でのアニメキャラクターの動きになぞらえている」とタッカ氏は述べ、「こうした偉業を実現できるようなアスリートを見ると、潜在意識、あるいは無意識のレベルで、アニメの世界と比較せずにはいられないのだ」と結んだ。 [原文:Does anime’s presence at the Paris Olympics signal the end of the jock-nerd divide?] Alexander Lee(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:島田涼平)
編集部