話題の本から今の世の中を考える。今読みたい40代、50代におすすめ本とは?
この1年間の売れた本&話題の本をプレイバック。文芸評論家・斎藤美奈子さんと本の最前線から世の中を考える! 今回は23年本屋大賞の上位「少女小説」について。 40代・50代女性に読んでほしい「おすすめの本」 「“成瀬”の主人公は舞台である大津という地方都市へのネガティブな感情が皆無で、地元愛がぶれない。日本中の地方都市在住者に自己肯定感を与えたのでは。家族と仲がいいけれど自立度が高い成瀬とは対照的に、“ネネ”と“黄色”の主人公たちはそれぞれ最低な親を見限って新しい暮らしを始める。しかも2作とも新聞連載小説です。子供が自分から親を捨てるという選択は今まで文学にあまり書かれませんでしたが、そういう小説が新聞に載り、文学賞で評価されたのは、多くの人が少女たちに共感したから。3冊の少女小説は“親ガチャの時代”を反映しているともいえそうです」
撮影/神林 環 スタイリスト/洲脇佑美 取材・原文/山本圭子 ※エクラ2024年9月号掲載