街中でEV車はそれほど見かけないのに、なぜ「使われない充電器」がたくさんあるのか
稼働率公表が義務化された場合
もちろん、課題は多い。例えば、会社によって稼働率の算出方法や開示項目およびその定義が異なっているので、これを経産省のもとで「統一」しなくてはいけない。 では、もし稼働率公表が義務化されれば、充電インフラ整備の進め方はどのように変わっていくのか。前出の充電器事業者関係者はこんな近未来を予見する。 「補助金を使っている以上、稼働率を重視していく流れは当然です。今後は稼働率の公表を含むEVユーザーへの情報提供の高度化が推進され、費用対効果の高い施設や利用プランの設計が優先的に補助金を受けられる前提となっていくのではないでしょうか」 そんな“読み”を裏付けるように、前出の経産省担当者も「補助金の要件に稼働率を入れるか否かなどあらゆる可能性を検討していく」という。 「いまさら?」とあきれる人も多いだろうが、EVインフラ整備にもここにきていよいよ「費用対効果」の視点が盛り込まれていくかもしれないのだ。 確かに国民感情としては、いくら国から「地球のためにEVに乗りましょう」と呼びかけられたところで、そのインフラ整備に自分たちの税金が費用対効果を度外視で注ぎ込まれていたら、「EVってなんかうさんくせえ」とシラけてしまうだろう。 本当にEVを普及したいのなら、「ブラックボックス」はつくらずに、充電インフラの実情をつつみ隠すことなく全てオープンにすることから始めるべきではないのか。 (窪田順生)
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