「ゴアテックス」「パタゴニア」らアウトドア関連各社が製品ケアの取り組み強化 PFAS規制背景に
世界的に、PFAS(ピーファス)をめぐる議論の機運が高まっている。PFASは1万種以上あるとも言われる有機フッ素化合物の総称で、安定性が高く水や油をはじく性質が重宝されて、衣料品のはっ水・防水加工にも長らく使われてきた。しかし、分解されづらく環境残留性が高い点が指摘されており、欧州や米国の一部州で規制やそれに向けての議論が先行している。衣料品の中でも特に、高精度のはっ水・防水性能が求められるのがアウトドア領域だ。PFAS規制によって高山や厳しい天候下での着用を想定したハードシェルの性能が落ちるようなことがあっては、人の命にも関わる。高いパフォーマンス性とPFASフリーを両立するため、アウトドア関連各社が製品ケアの面で取り組みを深めている。 【画像】「ゴアテックス」「パタゴニア」らアウトドア関連各社が製品ケアの取り組み強化 PFAS規制背景に
防水・透湿・防風性を備え、アウトドアからライフスタイル領域まで数多くのブランドが使用している素材が「ゴアテックス(GORE-TEX)」だ。よく知られているように同素材は3層構造で、メンブレンと呼ぶ真ん中の膜が防水・透湿・防風性能のキモとなっている。「ゴアテックス」は従来、メンブレンと表面加工のはっ水剤にPFASを使用してきたが、10年以上をかけて従来と同じレベルの機能性とPFASフリーを両立する新素材を研究。PFASに代えて延伸ポリエチレン(EXPANDED POLYETHYLENE、略称ePE)を使うメンブレンを開発した。
「ゴアテックス」では、はっ水剤については先行して2018年からPFASフリーへ順次切り替え。メンブレンについては22年秋冬に一般アウトドア向け製品でePEに切り替え、23年秋冬はより高い性能が求められるパフォーマンス製品で切り替えを開始した。24年秋冬時点では、アウトドアのスペシャリスト向けの最高性能が求められる「ゴアテックス プロ」を除いて切り替えが済んでおり、その「ゴアテックス プロ」も25年秋冬は全てePEになる。これでPFASフリーを達成し、連動して「アークテリクス(ARC’TERYX)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」をはじめ多くのブランドもPFASフリーとなる。