98年に日本上空通過、06年には1日で7発……北朝鮮ミサイル発射まとめ
3月26日、北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射しました。北朝鮮は昨年の4月にも弾道ミサイルの発射準備を伺わせる動きを見せるなど、近年エスカレートする挑発的な姿勢に、不安を感じている人も多いでしょう。北朝鮮によるミサイル発射は、1993年から断続的に続いています。ミサイル発射の主な事例をまとめてみました。 【図表】北朝鮮ミサイルの射程と命中精度
98年にテポドン1号が日本上空を通過
1993年5月、北朝鮮によって初めて日本海中部にミサイルが試験発射されました。このとき発射されたのは、日本列島がほぼ射程内に入るとされる中距離弾道ミサイル「ノドン」で、射程距離は最大1300キロメートルといわれています。 その5年後、1998年8月には中距離弾道ミサイル「テポドン1号」を発射。その飛行距離は1500キロメートル以上といわれ、日本上空を越えて太平洋に落下しました。ミサイルの一部は東北地方の上空を通過。他国の空をまたぐようにミサイルを発射したことは、国際社会からも多くの批判を集めましたが、北朝鮮は人工衛星「光明星1号」を打ち上げるためのロケットだったと主張しています。
06年には改良型テポドン2号など7発
90年代に行われた一連のミサイル発射は、日本国民に多大な不安をもたらしましたが、2000年代前半にはやや沈静化します。しかし2006年7月に、大陸間弾道ミサイル「テポドン2号」を含む7発もの弾道ミサイルが日本海に向けて発射され、大騒ぎになりました。ちなみにテポドン2号は打ち上げに失敗しています。 その3年後の2009年には、4月に「テポドン2号」の改良型とみられる弾道ミサイルを発射、日本上空を越え、さらに7月には日本海に向けて7発の短距離弾道ミサイルなどが発射されました。テポドン2号の射程距離は約6000キロメートル、改良型は1万キロメートル以上とみられています。
初の「破壊措置命令」を発令
この年、日本は初めて「弾道ミサイル破壊実施措置命令」を発令。これは弾道ミサイルなどが日本に飛来した際、人命や財産に被害が及ぶのを防ぐために迎撃する措置をとることを意味します。メディアでも「パトリオット PAC-3」「SM-3」といった迎撃ミサイルが盛んに取りあげられ、緊張が高まりました。 このような事態を受け、日本は弾道ミサイル攻撃への対応として、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を進めてきました。2010年には「パトリオット PAC-3」の部隊配備が完了し、2011年には「FPS-5」というレーダー装置の配備が完了しています。 しかし2012年以降も、北朝鮮によるミサイル発射の動きは止まりませんでした。