天竜川河口で砂州減少 12月解禁のシラスウナギ漁に影響か 近年最大の浸食、不安広がる
ニホンウナギの養殖に使う稚魚「シラスウナギ」の採捕場所となっている天竜川河口の浜松市側の砂州が、ここ数年で最大の浸食を受けている。12月1日の漁の解禁を前に、採捕者は「今までに見たことがないほど砂が減っている」と漁への影響を不安視している。 浜松市と磐田市の境に流れる天竜川河口付近の堤防間の距離は約1・2キロ。国土交通省浜松河川国道事務所によると、2023年6月の台風2号接近に伴う大雨の影響で、砂れきが堆積していた砂州を浸食し、川幅は670メートルに拡大した。24年6月時点の調査で300メートルに縮まったものの、8~9月の台風10号の影響による大雨などで、現在は23年6月よりも川幅が広がっているという。 稚魚シラスウナギ漁は、浜松市天竜川しらす鰻漁業生産組合の組合員が天竜川河口の西側、竜洋しらす鰻採捕団体の組合員は東側で行う。浸食が目立っているのは浜松市側から東に向かって伸びる砂州で、川幅が広がっているため海から波が流れ込むことによって、上流に向かうシラスウナギの動きが見えにくいという。 シラスウナギの漁期は来年4月末まで。浜松市天竜川しらす鰻漁業生産組合の山田長生代表理事(61)によると、これまでは浸食しても砂が西風に乗って運ばれるため、砂州は再生されてきたが、ことしはそうした傾向も見られない。山田さんは「今の状況では、漁ができる場所がほとんどない」と不安を口にする。
静岡新聞社