エーゲ海の火山島で最悪の想定を更新する大爆発がありうると判明、ケタ違いの規模か
次の噴火はどうなる?
今回の研究は、カメニ火山が予想以上の破壊力を秘めていることを示唆している。同様の爆発的噴火が今起これば、膨大な量の灰と軽石が降り注ぐだけでなく、堆積した軽石でできた不安定な島が山体崩壊して津波が発生する恐れもあると、米オレゴン大学の火山学者キャシー・キャッシュマン氏は指摘する。なお、氏もこの研究には参加していない。 サントリーニ島の火山は現在、24時間体制で厳重に監視されている。「少しでも不穏な動きがあれば、最初期の段階で検知され、警告が発せられるはずです」と、ヨー氏は言う。 しかし、この論文が意味を持つのは、サントリーニ島だけにとどまらない。サントリーニ島は、現代の火山科学につながった重要な研究の場所の一つとされており、これまでにも詳しい調査が行われ、あらゆる細かい証拠が繰り返し分析されてきた。「それでもまだ驚くような発見が出てくるのです。私たちが毎日目にするこの火山は、まだ多くの秘密を隠し持っています」と、プライネ氏は言う。 これほど研究し尽くされているサントリーニ島でさえそうなのであれば、世界中に存在するほかの火山、とりわけ海に沈んでいる火山はなおさらだ。時は迫っている。「監視されている海底火山はほとんどありません。これを変える必要があります」と、ヨー氏は警告する。
文=Robin George Andrews/訳=荒井ハンナ