エーゲ海の火山島で最悪の想定を更新する大爆発がありうると判明、ケタ違いの規模か
噴火を繰り返してきたサントリーニ島
サントリーニ島は、カルデラを形成する火山の一つだ。このような火山は世界中に数多く存在し、最終的に巨大な爆発へ至る周期で活動していると考えられる。その爆発によって作られた大きな鍋のようなへこみを「カルデラ」という。 サントリーニ島の火山活動はおよそ65万年前までさかのぼり、紀元前1600年頃の巨大噴火を含めて、カルデラができる壊滅的な爆発を少なくとも5回起こしている。 紀元前1600年頃の噴火以降、火山活動は主に、2つの頂上を持つカメニ火山に集中し、噴火を繰り返してきた。最後に噴火したのは1950年で、その後は2011年から2012年にかけて何度か地震が発生した以外は沈静状態を保っている。しかし、火山は眠っているわけではない。 「火山は今もまだ比較的活発ですから、もちろん常にある程度のリスクはあります」と話すのは、英サウサンプトンにある国立海洋学センターの海底火山学者イソベル・ヨー氏だ。氏も、今回の研究には関わっていない。そして海底火山の場合、何の前触れもなく突然噴火する場合があることを、科学者たちはよく知っている。
歴史記録に伝わる恐ろしい光景は本当だったのか
カメニ火山の将来的な危険性を理解するため、科学者たちは726年の噴火を特に詳しく研究してきた。歴史的な記録は、その恐ろしさを物語っている。まず湾の海水が沸騰し始め、やがて海全体が火に包まれた。その後、耳をつんざくような爆発が起こり、空全体は灰で覆われ、地表に軽石が降り注いだという。 しかし、そのような終末的な記述を支持する証拠はこれまで見つかっていなかった。英ハル大学の火山学者であるレベッカ・ウィリアムス氏は、今回の研究には参加していないが、こう説明する。「軽石は爆発的噴火でしか形成されません。しかし、火山島の噴火の歴史を完全に理解しようとするうえで大きな問題となるのは、ほとんどの岩石の記録が海の中に失われてしまうことです」 726年の噴火の場合も、地上にはわずかな痕跡しか残っていない。そのため、破壊的な噴火だったと伝えられてはいたものの、「噴火の影響が真剣に受け止められることはなかったのです」と、プライネ氏は言う。 ほとんど知られていないカメニ火山の過去を明かにするため、国際深海科学掘削計画(IODP)のメンバーがカルデラ内の異なる地点で海底を掘削し、土壌コアを採取した。 すると、726年の噴火に由来する大量の灰と軽石が発見された。これにより、歴史記録が語るように、この噴火は確かに規模が大きく、深刻な影響をもたらしていたことが示された。 3.1立方キロメートルもの噴出物とは想像を絶する。しかし、実際はそれよりもはるかに恐ろしい状況だった可能性がある。 「論文の見積もりは、カルデラ内に堆積した量しか分析していませんから、少ないほうだと思います」と、ヨー氏は指摘する。「ほかにも、大量の物質が火山から遠く離れた場所にまで達していたはずです」