カップルの関係改善に役立つ「自己認識力」、3つのポイント
自己認識は共感力を高める
社会心理学ジャーナルのJournal of Experimental Social Psychologyで発表された研究によると、自己認識できていると、信頼構築に欠かせない透明性が促されるという。自らの感情を率直に打ち明ければ、パートナーも安心して胸の内を明かしてくれるようになる。 両者が自己認識の向上に努めれば、それぞれが自分を知り、自分を好きになり、自分を信頼できるようになるので、信頼関係が強まっていく。その結果、心から互いを認め合う関係が生まれ、あらかじめ抱いていた期待に相手をはめ込もうとすることはなくなる。 ■3. 自己認識は共感力を高める 自己認識ができていると、まずは自分自身の感情を受け入れられるようになり、共感力がアップする。ひいては、相手が置かれた状況を理解することも容易になる。 2017年に発表された研究では、自己認識を養うと同時に、アクティブリスニング(相手の話に100%集中して理解し、反応し、記憶すること)を実践すれば、共感力が高まることが明らかになった。共感力が高くなれば、人とつながる力が強化され、深い思いやりをもって接することができるようになる。 自分自身を受け入れていると、もっと心を開いて他者を受け入れられるようになる。自分の感情と体験について理解を深めることで、パートナーの感情と体験をいっそう感じ取れるようになり、彼らを感情的にするトリガー(引き金、きっかけ)や、彼らが無意識に持つバイアス(先入観や偏見)、限界なども認識できるようになる。 自分の心の傷や苦しみが、パートナーの傷や苦しみを癒す源になる。対立は、思いやりを示して成長し、互いを癒す機会へと変わるだろう。 自己認識ができていれば、相手の言動を自分への攻撃と受け止めにくくなり、相手の立場になって考え、相手の見方を認め、共通点を見いだせるようになる。そして最終的に、相手との関係が強くなっていく。 とはいえ、自己認識はあくまでも、関係の変化に向けた第一歩にすぎない。自己認識さえできれば、関係が自然と変化する、というわけではないことを忘れないでほしい。自らを制する姿勢、自分自身ならびにパートナーとの関係を改善したいという願いと、それに向けた積極的な努力が必要だ。 自己認識によって、地図は手に入る。しかし、実際に旅へと踏み出すかどうかはあなた次第だ。
Mark Travers