【日本の選挙運動は古すぎる!】支持を得たネットとリアルの融合、世界でも“特異”な日本、個別訪問もそろそろ解禁を
今回の総選挙は政治資金の問題が最大争点となっていたが、底流では選挙運動の進め方でも大きな変化があった。議席数を4倍に増やした国民民主党の玉木雄一郎代表は「実際に演説に出向き、同時にライブ中継する。そしてその動画を自由に切り抜き拡散してもらった。それで支持が広がっていったと実感している」と語っている。 【写真】続けられた旧態依然として選挙活動 この選挙運動スタイルは、先の東京都知事で2位に食い込んだ石丸伸二氏の戦略を研究し参考にしたという。米国では過去にオバマ大統領がこの方法で当選したことが知られている。 大詰めにきた今回の米国大統領選挙でも、両陣営とも各地における集会の盛り上がりをネットで拡散して支持を拡大しようと努めている。日本もリアルの演説をネットで広く拡散していく方法が今後定着していくだろう。 これを機会に、日本の選挙運動を規制する各種の選挙制度も抜本的に改正したらどうか。ポイントは、候補者の人柄と考え方そして重点政策が有権者にわかるような選挙に変えることである。
旧態依然の選挙運動スタイル
今回の選挙でも候補者の多くは旧態依然たる選挙運動スタイルを守っていた。公会堂の大きなホールを借りて平日の夜、1時間半から2時間かけて演説会を開く。そこでは次々とほかの選挙区の、いわゆる大物政治家が何人も登壇して当該候補者がいかに優れた政治家であるかをいろいろな角度から語る。 聴衆をそれなりに納得させる話もあるが、肝心の候補者の話は時間が短くて、集まってくれた人たちに対するお礼やお願いなど内容のない話が多く、候補者の人柄や政策に対する理解が深まる機会とはならない。 そういう選挙をする候補者はたいてい、駅頭演説でも選挙カーや政党の大きな選挙カーにいわゆる大物政治家の名前を書いた垂れ幕を掲げ、聴衆はその人たちの演説を聞かされる。ここでも候補者本人の話はあまり聞くことができない。 そういうやり方をすべて否定するわけではないが、いわゆる大物政治家の話ばかり聞かせるのは本末転倒ではないか。東京では、政治資金の問題を理由に自民党の公認を得られず無所属で立候補し、地域の小集会を重ねて当選した人が今回、複数いた。 国政選挙ではないが、自民党都議会議員として6回、杉並区で当選を重ねている早坂義弘氏はふだんから後援会をつくらず、選挙の集会も開かず、団体やグループへの出席や駅頭・街頭での演説と日頃の戸別訪問そして内容の濃い政策情報紙の発行によって有権者の支持を受けている。