【パリ五輪】やり投・北口榛花 五輪直前インタビュー「やれることを全部やってパリに臨みたい」“一番”と言われる選手に近づくために
8月1日からいよいよパリ五輪の陸上競技がスタートする。大きな注目を集めるのは女子やり投の北口榛花(JAL)。昨年のブダペスト世界選手権で女子トラック&フィールド初の金メダルを獲得し、世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルも日本人初優勝を果たした。記録も世界リストトップで名実とも世界一に君臨した。 北口榛花 母校や社員からのエール「頑張る力に」五輪まで1ヵ月「最高の調子で最高の舞台へ」 しかし、北口は「オリンピックを勝ってこそ、真の世界女王」だと言う。今季はこれまで「絶好調という状態で臨めていない」が、ここからどんな仕上げを見せるか。女子やり投は予選が7日、決勝は競技場最終日の10日に行われる。大会直前の声を聞いた。
「身体が動かない」状態からの脱却
――オリンピックが開幕しました。少しずつ実感は湧いてきましたか。 「開会式も見ましたし、毎日、いろんな種目を楽しく応援していて、オリンピックだなという感じがします。いろんなスポーツが一気に見られて、『応援したい』という気持ちになるのがオリンピック。同じJAL所属のフェンシングで金メダルを取った加納(虹輝)選手の試合もほとんど見ました。決勝の相手が地元のフランス。すごい声援が聞こえてきて、私もその中で早く試合がしたいなと思いました」 ――日本選手権の後はDL2戦。モナコでは今季自己最高の65m21で優勝を飾りましたが、ロンドンでは62m69で4位でした。 「モナコでは久しぶりに自分の身体が動けるかも、と思って臨めました。前日まではそうでもなかったのですが、当日になって『行けるな』と。ただ、その後の1週間の調整で、やっぱり練習する部分もあったのですが、その内容が合わなかった。そこで身体がまた動かなくなりました」 ――今季はその身体の仕上がりで苦労されています。 「身体が動いていないと感じると、自分のやりたい修正点に加えて、まず身体を動かすというところを意識しないといけない。さらに、身体が動かない中でどうするか、と考えると、やっぱり修正も難しくなります」 ――「身体が動かない」というのはどういう状態なのでしょう。 「シーズン初戦のDL蘇州、5月の水戸招待の後に、身体が硬直したんです。ケガをしていないのに身体がギクシャクしてしまって……。柔軟性を出すために、おなか周りがポイントになるのですが、やっぱり上半身に出ることが多い。本当に動けなかったです。シーズン前のスペイン合宿あたりは1日休みがなく、練習の割に休日が少なく回復のペースが合わなくなり、身体がどんどん悪いほうにいいきました。動けていないのに練習はあるから動かそうとする。無理に負荷をかけてまた動かなくなった、という感じです」 ――現在の状態は。 「今は自分で休みながらできているので、そういうところからモナコの結果に結びついたと思います。ただ、モナコでももうちょっと飛んでもいいかなと思っていました。今、自分では“絶不調”だと思っているので、それなりに危機感はあります」 ――ただ、そうした状態でも65mは一本でました。 「今は技術的に苦労しているというのはなくて、脚の力が腕まで伝えられる試合とそうでない試合が多いくらい。それも身体がちゃんと整っていないからエネルギーが分散されます。身体がバッチリであれば65mは普通に投げられるし、1本目から64m(※DLモナコは自身1投目最高の64m63)は投げられます」