DV原因の離婚の場合はリスクやデメリットも…離婚後の「共同親権」導入、他国の制度などを専門家が解説
◆養育費不払いは刑事罰の対象 「共同親権」を導入する他国の状況は…
ユージ:塚越さんは、離婚後の共同親権の導入についてどう思いますか? 塚越:私は、今の状況で適切に運用できるかというと、やはりマイナス面のほうが多いと思います。未成年の子がいる夫婦の離婚件数は年間およそ10万件で、子どものことを考えれば非常に重要な問題です。 例えば、共同親権を導入しているドイツだと、養育費の不払いには刑事罰が課されるなど、厳しい制度が導入されています。日本もより厳しくする必要があります。アメリカの場合は、離婚するときに養育計画書を裁判所に提出する必要があり、(子育てにおけるさまざまな方針を)細かく厳しく決めます。そういうことをしないと、共同親権のマイナス面が大きくなってしまう懸念のほうが強いかなと僕は思います。 逆に言うと、最初から両親が円満離婚で合意した場合にのみ「共同親権」を与える方法もあります。とはいえ実際は対立したり、DVなどを受けたりして離婚する人も多いので、そういう人たちにとってはむしろマイナス面が強くなる可能性があります。 この法律は子どもの意見を尊重することが大事になっています。どこまで子どもの意見を尊重できるのか議論が必要ですし、(共同親権を導入するとなれば)家庭裁判所の人員ももっと増やさなければなりません。子どもの意見を尊重することを念頭に議論するなら、もっと本腰を入れて対応しなければいけない問題だと思います。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年3月14日(木)放送より)