元歌のお兄さん・横山だいすけが語る子ども時代の“挫折”「親以外から『歌がうまい』と言われたことがなかった」
習い事は、母が「近所にこんな教室があるけど、どう?」という具合に提案してくれました。子どもが興味のありそうなことをさりげなく観察して、決して押しつけないところもありがたかったですね。 こんなふうに、小学生時代の習い事からは、とにかく「好き」「楽しい」気持ちを育ててもらったと思います。「楽しいからやりたい」「好きだからがんばれる」というのはどういう感覚なのか。ここでしっかりとその「基礎」を身につけられた気がします。この気持ちがあったから、挫折も乗り越えてこられたのです。 ■実は、数えきれない挫折がありました ―――だいすけお兄さんにも挫折の経験があったのですか? もう挫折ばかりでした(笑)。たとえば、エリートがシューッとまっすぐの道を進むのであれば、僕はこんなふうに(手をジグザグに動かして)あちこち曲がってばかりでした。「歌のお兄さんになりたくて、なりました!」という具合にスムーズに夢を叶えたように見られがちなのですが、決してそうではないのです。 歌のお兄さんになろうと決めたのは高校生の頃。でも、どうやってなればいいのかわからないので、NHKに直接電話をして聞きました。しかし、オーディションはすでに終わっていました。そこで、ピアノの先生に相談して国立音楽大学に進んだのです。 大学を卒業するときも、オーディションのタイミングに合いませんでした。僕の先代の歌のお兄さん、今井ゆうぞうさんが劇団四季のメンバーだったことを知っていたので、「僕もやっぱり歌の道に進みたい」と、劇団四季のオーディションを受けて入団しました。そこで舞台に立たせていただきながら、歌のお兄さんのオーディションのチャンスを待っていたのです。 歌に関してお話しすると、親以外の人から自分の歌を「うまい」と言われたことがありませんでした。今でこそ、たくさんのお客さまからありがたい感想をいただくのですが、それまではほかの人から面と向かって「うまい」とほめられたことがなかったのです。