「桜井さんが設計したスカイラインに乗りたい」かなえた少年時代の夢、彼女の愛車もR32型「父親が大の日産党」
ノーマル状態のスカイラインを大切に乗るのが好き
こうして、若干くたびれた状態ではあったがR30型のRSターボXを手に入れる。購入した時点で30年落ちで、ショウさん自身も旧車なりの性能をある程度は覚悟して乗り出した。 「でもDOHCターボで走りはすごく良いんですよ。車体は軽量だし、いわゆるドッカンターボなのもあってクルマを操って走らせる楽しみのあるクルマだとすぐに感じました。最新車種に比べると操作系が重いとか足まわりが旧式などはあるんですが、現代のクルマにはない魅力がいっぱい詰まっているクルマなんです」 設計者である桜井さんが作った仕様をそのまま乗るのがショウさんの基本的な思想。そのため主要なパーツとしてはショックアブソーバーをオーダーパーツに交換している程度で、ノーマルの乗り味&仕様を守っている。コクピットには当時は豪華仕様だったオーディオコンポが装備され今では鳴らずとも設置したままにしているのもそんな思いから。 「安易にパーツ交換をして雰囲気を壊したくないと思っているんです。ヘッドライトも中のリフレクターが曇ってきてたんですが、カラ割り(ヘッドライトの分解)して内部パーツを自分で交換しました。またフェンダーは色がだいぶあせてしまっていたので、取り外してリペイントしました。機関部分は専門店でメンテナンスしてもらっているんですが、自分でできる部分は少しずつDIYしてます」
影響を受けた彼女もスカイライン乗りになる
スカイライン大好きのショウさんの隣で話を聞いていた彼女(マヤさん)だが、実は彼女もスカイラインオーナーであることが分かった。マヤさんが乗るのはR32型(1989年-1993年)、もともとはペーパードライバーだったマヤさんが彼氏とおそろいのスカイラインを手に入れて乗ることになった経緯も聞いた。 「彼の影響もあるんですが、父親が大の日産党だったのも大きく影響しています。小学生の時に父に連れて行かれたディーラーで当時は新車だったR32スカイラインを見たんです。その時に子ども心に“かっこいい!”と思ったのを今でも覚えています。それから20数年たって愛車になるとは思いもしませんでした」 初めてのクルマがちょっと旧車のR32スカイライン。お気に入りポイントは角張ったボディーフォルムと丸型のテールランプで、「ニンジンみたいでカワイイ」。こうして彼氏と2人で年代違いながらおそろいのスカイラインに乗ることになった。(今回のイベントには年式が新しいこともあってエントリーを遠慮したので愛車は写真で紹介している)。 「R32スカイラインを乗り始めたらお父さんも喜んでくれて、盗難の心配をしたり、いろいろ気にかけてくれます。でもかつて自分が乗っていたクルマも気になっていて“グロリアにすれば良かったのに……”な~んて言ってますけどね」 カップルで6代目(R30)、8代目(R32)のスカイラインを乗るショウさん、マヤさん。ともに祖父や父の代からの日産やプリンス、さらにはスカイラインのファンだったことが2人に受け継がれた。クルマへの思い入れはそんなきっかけから生まれることを知った取材になった。
土田康弘