発酵と腐敗は同じ!?ブームの火付け役・小倉ヒラクさんが語る発酵食品の魅力
小竹:ヒラクさんのポッドキャストでも、醸造家の方がバンバン喋っていますもんね。 小倉:そうそう。こんなに話しても大丈夫なのかと思うくらい喋っています。あれは親の代ではなかった流れで、もう一度インターネットカルチャー的なものが回帰してきているのが、今の若い世代の発酵文化の特徴ですね。 小竹:シェアをしながら、業界自体を磨いていくという感じ? 小倉:根本的には醸造業界や発酵の世界ってワンチームなんです。僕が住んでいる山梨にはワイナリーがいっぱいあって、僕が住んでいる2万数千人の小さい町にワイナリーが50軒くらいあるんです。 小竹:すごいですね。 小倉:大手のワイナリーもあれば小さいところもある。それがぶどうやワインを作っている時期の夕方になると、ワイナリーとかぶどう農家が自分が作ったワインを持ち寄ってお互いに飲んで情報交換をしているんです。 小竹:今年のぶどうはどうとか? 小倉:そうです。その結果、何が起きるかというと、産地としての実力がボトムアップされていくんです。 小竹:全体に知識が共有されるんですもんね。 小倉:だから、ワインの文化が地元に根付いていくんです。マーケットとしての競合でもあるけど、同時にワインというカルチャーを作り上げていく仲間なんです。自分たちが腕を磨くことで、地域がワインによって輝き、存在意義を得られて観光資源にもなるという意識が芽生えるんです。 小竹:うんうん。 小倉:あと、ワインに憧れて若い人がたくさん働きに来る。そうやって雇用ができていくようにもなるので、決まったパイを奪い合うよりは自分たちで腕を磨いて新しいパイを作り出していくという感じのマインドセットになるんです。 (TEXT:山田周平) 【ゲスト】 ■小倉 ヒラクさん 発酵デザイナー / アートディレクター /「発酵デパートメント」オーナー / ポッドキャスト『#ただいま発酵中』YBSラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』パーソナリティ。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市に発酵ラボをつくる。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちと発酵・微生物をテーマにしたプロジェクトを展開。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。著書『発酵文化人類学』『オッス!食国 美味しいにっぽん』『アジア発酵紀行』『日本発酵紀行』など。 X: @o_hiraku https://twitter.com/o_hiraku Instagram: @hirakuogura https://www.instagram.com/hirakuogura/ 【パーソナリティ】 ■クックパッド株式会社 小竹 貴子 クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理。仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。 X: @takakodeli https://twitter.com/takakodeli Instagram: @takakodeli https://www.instagram.com/takakodeli/