[特集/アジアカップのその先は? 02]技巧派のカタール、空中戦のイラン、瞬発力のヨルダン…… キャラクター際立つアジアの最新勢力図
東側に足りていない中東勢とは“逆の”国際経験
旧ソ連の中央アジア勢は洗練されたパスワーク、コンビネーション、アタッカーの裏へ抜けるスピードが伝統的。キルギス以外の2チーム(ウズベキスタン、タジキスタン)がそのキャラクターを活かしてベスト8入りしていて、ベスト4には行けなかったが可能性は示した。 東アジアは韓国がベスト4入りしたが、優勝候補筆頭だった日本は準々決勝で敗退した。韓国と日本は主力の多くが欧州リーグでプレイしている。アジアカップのレベルは彼らが普段プレイしている欧州主要リーグほど高くない。そう考えると、日本と韓国は自ずと優勝候補にあげられるのだが、個々の能力は高くてもチームとして図抜けた存在にはなっていなかった。 日本や韓国の弱点はカタールなど中東勢とは“逆の意味”での国際経験だ。日本はグループリーグでイラクが対策してきたロングボール戦法に敗れている。さらにイランにも同じ戦法でやられた。明らかに苦手なタイプがあるわけだが、イラクとイランの戦法は日本の主力がプレイしている欧州リーグにもJリーグにもほぼない戦法だった。 森保監督や選手たちはしばしば「アジアの戦いの難しさ」を口にしていた。しかし、多くの選手がプレイしている欧州よりアジアのレベルが高いわけではない。つまり自分たちに弱点があり、そこを突かれると足下をすくわれる可能性があると、ある程度予期していたのだろう。 アジアには主に地域によっていくつかのプレイスタイルがある。代表選手の大半が自国リーグにいる場合、欧州リーグに所属している場合とでは、編成の状態に違いがあるが、明確なキャラクターを持つことで強豪国を苦しめるチームも増えてきた。今大会を見ても分かる通り、アジア全体のレベルアップは間違いなく進んでいる。 ただ、世界を見据えたときにはやはりアジアのトップとなるのは日本、韓国、イラン、サウジアラビア、オーストラリアの5強。そこに連覇を達成したカタールを加えた「新たな6強」がアジアをリードしていくこととなるだろう。 文/西部謙司 電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)290号、2月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部