大河ドラマ「べらぼう」効果を福島・白河に 官民組織設立、敵役で松平定信が登場
白河市の観光関係者の間で「まちを盛り上げる何十年に一度というチャンスを生かしたい」という機運が高まっている。来年1月に放送が始まるNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で白河藩主松平定信が登場するからだ。市は関連事業を手がける官民合同の協議会を25日に設立し、観光客誘致を目指す。
主人公の「敵役」
「多くの人が白河に足を運ぶきっかけになってほしい」。定信を祭る南湖神社(白河市)の宮司中目公英さん(64)は声を弾ませる。境内にある宝物館には定信自筆の自画像や書といった貴重な史料が収められるなど、定信とゆかりが深い。それだけに、大河ドラマをきっかけに関心が集まることを期待する。 定信は寛政の改革を手がけ、凶作に備えて質素倹約を奨励した。べらぼうの主人公で「江戸のメディア王」として活躍した蔦屋重三郎には風紀の取り締まりとして厳しい処分を科すなど「蔦屋の敵」という一面もあった。中目さんは「厳格な印象はあるが、白河藩主としては農商工の振興や文化芸術の向上に努めた。大河ドラマでは、いろんな表情を見せてほしい」と願う。 市内にはほかに、定信にゆかりのある南湖公園や小峰城跡があり、周遊効果も期待される。同市のカフェ店員桜岡香里さん(46)は「観光客が市街地を訪れてにぎわってほしい」と話す。 新たに設立される協議会は、市や白河観光物産協会、白河商工会議所など官民一体で組織。市内の国史跡を巡る観光施策を打ち出す。定信の功績を知る機会として、市民向けの出前講座の開催なども検討していく。 功績を全国発信 定信について詳しく知るため、23日には市内で勉強会が開かれた。市内の歴史資源を活用保全する「しらかわ歴史のまちづくりフォーラム」専務理事で歴史研究家の植村美洋さん(68)が講師を務め「定信の功績をゆかりの地である白河から全国に発信していくことが重要」と呼びかけた。 市観光課によると、2013年に放送された大河ドラマ「八重の桜」で白河口の戦いが取り上げられた際は、多くの観光客が市内を訪れたという。鈴木穣課長(56)は「全国にPRできる良い機会。観光誘客につなげていきたい」と言葉に力を込めた。(小山璃子)