江差パワハラ「道が認定されたパワハラを認めず」に鈴木知事「コメント差し控え」専門家は「説明責任負う」
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北海道立の看護学校で教師からパワハラを受けたとされる学生が自殺した問題で、道は遺族との裁判で第三者委員会が認定したパワハラを否定しました。これについて26日、鈴木知事は会見で明確なコメントを避けました。 北海道・鈴木知事) (Q:パワハラ4件について該当しないと主張した。知事はどう考えるか?) 「現在、係争中の案件なのでコメントを差し控えたい」。 2021年に江差などの道立高等看護学院で明るみになった、教師による学生へのパワハラ。この年、道の第三者委員会による調査で教師11人による暴言など53件のパワハラが認定されました。しかし、男子学生の自殺については当時、被害の申し出がなかったとして調査が行われませんでした。 自殺した学生の母親) 「うちの子は江差の学校に殺されたんだという思いが強くなって。この学校に行かなかったらこんなことにならなかったのにという思いしか残らなかったので」。 遺族の依頼を受けて調査を行った第三者委員会は去年、教員による4件のパワハラがあったと認定。学校の学習環境と自殺との「相当因果関係」を認めました。 北海道・鈴木知事) 「ご遺族に対して深くお詫びを申し上げます。お亡くなりになられた学生に対して心より哀悼の意を表します」。 調査結果を受け、道は遺族に謝罪。しかし、道がパワハラと自殺との因果関係を前提とした賠償責任を認めない姿勢をみせたため、遺族はおよそ9500万円の損害賠償を求め提訴していました。 準備書面) 「パワハラと認定された4つの事例は、パワハラと評価し得ない」。 そして、24日。 道は裁判の中で、第三者委員会が認定したパワハラをすべて否定しました。この主張を受け、遺族は… 遺族 「道からの主張を聞き泣き崩れました。息子の命に対しても責任を取っていただけると思い謝罪を受け入れたのに全てを、息子の死までを否定する道に憤りしかありません」。 第三者委員会は道が設置した機関です。その第三者委員会が認定したパワハラを否定することについて知事は… 北海道・鈴木知事) (Q:一般的にそんなことはある?) 「繰り返し申し訳ないが、現在係争中なのでコメントは差し控える」 (Q:方針が変わったのも知事が判断したのか) 「方針が変わったとか変わっていないとか個別の状況について話す状況にないと思うが今後も適切に対応したい。私は知事として道民の付託を得て道政を預かっているので道民の皆様にしっかりと仕事で向き合い、適切に対応している」。 これまでの経緯第三者委員会によるパワハラ認定と、道が否定するまでの経緯を整理します。 2021年、道の第三者委員会が11人の教師による53件のパワハラを認定しました。ただ、学生の自殺については「申し出がなかった」として調査の対象になりませんでした。 遺族は道に対し調査を申し入れ、去年、第三者委員会は教師から4件のパワハラがあったと認定。学習環境と自殺との「相当因果関係」を認め、道も謝罪しました。 ただ、今回、道は遺族との裁判の中で「パワハラと認定された4つの事例はパワハラと評価し得ない」と主張しました。 鈴木知事は26日の会見でパワハラを否定した判断について裁判で争われている最中であることを理由にコメントをしませんでした。 この対応について行政問題に詳しい札幌大学の武岡明子教授は「第三者委員会は客観性を確保する観点から設置するもので、報告書を最大限尊重するべき。その内容を否定するのなら説明責任を負うが、今のところ果たされていないと感じる」と話しています。
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