電圧耐性向上…TDK、「MLCC」月産100万個
車載向けで採用を働きかけ
TDKは高耐圧と高容量を両立した積層セラミックコンデンサー(MLCC)を開発した。内部の設計を見直したことで従来品比1・25倍の電圧に耐えられるようにした。主に車載用途での採用を働きかける。12月に本荘工場西サイト(秋田県由利本荘市)で生産を始め、当初は月産100万個を計画。消費税抜きの想定価格は95―110円程度を想定する。 【写真】TDKのMLCC 定格電圧は1250ボルト。5000ボルトの電圧を与えた場合、MLCCの数を従来品比20%減らせるため、機器の小型化に貢献する。大きさは長さ3・2ミリ×幅2・5ミリ×高さ最大2・5ミリメートル。静電容量は最大10ナノファラッド(ナノは10億分の1)。 MLCCの内部にある電極間の距離を広げ、電極同士が重なる面積を大きくするなどして耐圧と静電容量の高さを両立した。また、材料などを工夫したことで温度や電圧が変化しても静電容量を変化しにくくしたほか、通電時の発熱を抑える。ワイヤレス電力伝送(WPT)での送電・受電に使う回路への搭載に適する。 近年、電気自動車(EV)の充電時間を短縮するために、高電圧化や大電流化が進む。回路に使うMLCCにも高電圧や大電流に対応することが求められていた。