カフェスタッフが現役の医療従事者、健康相談もできると話題! 医療を身近に感じられるまちづくりも進行中 東京都府中市「FLAT STAND」 理学療法士・糟谷明範さん
医療とカフェを中心に、近隣の人々とつくる”むら”
今ではカフェFLAT STANDを入り口に、隣接する2棟のアパートとその敷地一帯に広がるこのエリアや活動を糟谷さんは「たまれ」と名づけ、コミュニティづくりに取り組んでいます。 「『たまれ』という通称は、この場所の最寄りの多磨霊園駅と、人が溜まる(集まる)、を掛けています。 『たまれ』は人やモノ、コトが集まる場で、ここではたくさんの文化や価値に出会うことができます。場所の名称ではなく、活動そのものを『たまれ』と呼んでいます。大切にしているところはそれぞれの関係性や距離間です。必要があれば声を掛け合えるような関係があって、終わったら離れて、また必要があれば帰ってくるみたいな。そんな、くっ付いたり離れたりを繰り返すような、余白のある関係性や距離感がある場であり、活動でありたいと思っています」 糟谷さんが抱く「たまれ」のコンセプトは2つ。1つ目は誰もが居ていい場所。誰もが主役で、誰も主役ではない、特定の形や色を持たない全員に開かれた場所。そしてもう1つが、在宅医療・福祉が日常に溶け込んだ新しい形のコミュニティなのです。
「こうしたコンセプトの実現のために僕ができることは、医療の専門職として日々修練を重ね有事に備えること。そして、普段は1人の人間としてまちに暮らし、まちやそこに住む人達のことをよく知ることです」 「医療と地域の境界線を曖昧にしたい」――カフェの運営を出発点に、その構想は界隈に溶け込み、様々な関係性をつくっています。
看護、リハビリを担う医療者が日常に溶け込んだ地域社会とは
こうした動きに近隣住民の方達はどのように反応しているのでしょう。 府中市といえば東京競馬場や多摩川ボートレース場を擁する公営競技の聖地。そして、スナックなどが多い土地柄もあって、多磨霊園駅周辺には競艇帰りや飲み屋帰りの人もちらほら。 「帰途、道端に倒れているような人もいるんです。『あの人調子悪そうだから診てやって!』と警備員の方が訪問看護ステーションに呼びに来たり、子どもが看護師を頼りにカフェに駆け込んだりといったことが増えています。 はじめのころは不思議な目で見られることもあったFLAT STANDや「たまれ」の活動ですが、最近は何かあったら相談できる場所として、訪問看護ステーションの窓口として、地域の方に頼りにされているなと感じています。 まちで顔見知りも増え、往来で声をかけられることも多くなりました。僕らの活動が地域に馴染んできたことを実感できるのは、嬉しいことです」
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