カフェスタッフが現役の医療従事者、健康相談もできると話題! 医療を身近に感じられるまちづくりも進行中 東京都府中市「FLAT STAND」 理学療法士・糟谷明範さん
FLAT STANDや「たまれ」などのフラットな場で医療者と市民が顔馴染みになる機会は、在宅医療を行う上でも大切なものだと、糟谷さんはいいます。 「患者さんの暮らしというのは訪問先での1時間だけではなかなか見えてきません。1日の中の他の23時間のことも視野に入れて行うのがケアの本当のあり方だと思うのです。 その人の暮らし、大切にしているもの、普段の態度などを窺い知れるという点でもLICとFLAT STAND、そして『たまれ』、その3つのバランスを大事にしています」
それぞれの「いい感じ」の実現を目指して
訪問看護テーション、居宅介護支援、カフェ、そしてコミュニティづくり。これまで多くの事業の運営・発展に尽力してきた糟谷さんが、目指すのは関わる人皆が幸せになること。 糟谷さんの会社名のシンクハピネスとはSynchronize Happiness、つまり「幸せを同期する」という意味です。こうした理念を体現するために意識していることがあると言います。 「『いい感じ』というキーワードを、僕はいつも心に留めています。でも、その感覚は人それぞれ異なるものです。僕の『いい感じ』は他人には押し付けられない。誰かにとっての”楽しい”は誰かにとっての”悲しい”かもしれませんから。 だからこそ楽しいとか嬉しいという感覚だけじゃなく、悲しい、恥ずかしい、辛いといった感覚も同時に存在することが必要だと思うんです。誰もがその人なりの『いい感じ』でいられるようなコミュニティづくりができたらなと思います」 元気な人の「いい感じ」は、バリバリと仕事をしたり、プライベートの楽しみに邁進したりすることかもしれません。一方で病気の人の「いい感じ」は、痛みが和らいだり、今日のご飯を美味しく食べられたりすることかもしれません。 どちらの「いい感じ」も尊重し、お互いを思い遣りつつ共に暮らす――糟谷さんがシンクハピネスの事業で志す、医療と地域が手を取り合うコミュニティづくりは、これからの地域の「いい感じ」を模索するうえで、注目すべきモデルになりそうです。 ●取材協力 糟谷明範さん 株式会社シンクハピネス 代表取締役 理学療法士 一般社団法人CancerX 共同代表理事 2006年に理学療法士免許取得。総合病院、訪問看護ステーション勤務を経て、2014年に株式会社シンクハピネスを創業。現在は、訪問看護、居宅介護支援、カフェ&コミュニティ事業を軸に東京都府中市をベースに活動している。
SUUMOジャーナル 編集部
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